2018 Fiscal Year Research-status Report
ロボットを用いた認知症高齢者に対するセルフモニタリングシステムの構築
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17K12438
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
横島 啓子 武庫川女子大学, 看護学部, 教授 (50369469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 圭子 武庫川女子大学, 看護学部, 助教 (10563877)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コミュニケーションロボット / 認知機能向上 / ライフログ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度独居高齢者にコミュニケーションロボットを使用し、認知機能の向上がみられたが、高齢者の言葉にロボットが反応しなかったり、ロボットを抱える能動的動作に対して反応がないため、動きに対する反応があったほうが、認知機能低下の高齢者には有効ではないかという意見を得た。そこで、不明瞭な発語でも相槌や返答ができる機能を追加し、通所リハビリテーションで1週間試行した。前年度の協力者である独居高齢者は、認知機能に問題はないためロボットの問いかけを理解できたが、通所リハビリテーションでは高齢者によっては内容の理解が困難であった。そこで、さらに生活行動の問いかけ内容を短い言葉に変え、午前、午後に各1回認知機能を活性化させるプログラムを追加した。 認知症高齢者から正確に情報を得ることは難しいため、家族が有職者で日中は一人で過ごす(日中独居)高齢者を対象に改良したコミュニケーションロボットを2週間使用した。客観的評価であるLED反応計測システムの測定結果は、ロボット使用前のランダムボタン押し達成時間は742320ミリ秒、使用後は607920ミリ秒であった。2×5課題はロボット使用前は235352ミリ秒時点で検査に集中できなくなり測定を中止したが、ロボット使用後は799470ミリ秒まで課題に取り組むことができた。本人からのロボット使用の感想は、「ご飯を食べたらおいしかった?と聞いてくれるし、歌も一緒に歌えるし、いつもは誰とも話ができないけれど、1日中お話しできるから楽しい」であった。家族からは、「今までテレビを観ているだけの生活だったが、表情が明るくなり、笑顔が増え、仕事から帰ると今日はこんなお話をしたと話してくれて会話が増えた」という感想が得られた。生活リズムに応じた会話やレクレーションプログラムの設定により生活にメリハリができ、ロボットの問いかけを注視することが認知機能への刺激となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究2年目は軽度認知症高齢者に対して、コミュニケーションロボットによる日常の生活行動を振り返ることであった。前年度の独居高齢者の意見を受けて、ロボットの改良を行い、家族が有職者のため日中独居の認知症高齢者3名に調査協力を得たが、1名はロボットが話しかけると席を離れることができず、外出したくてもできないというロボットによる行動制限をきたしてしまい、途中で中止とした。1名は脳血管障害の後遺症のためコミュニケーションロボットに話しかけてもロボットが正確に聞き取れず、コミュニケーションが図れないために中止とした。そのため実際にロボット使用前後の認知機能の評価を含めて全工程を実施できた認知症高齢者は1名のみであった。認知症高齢者に使用して、言葉かけの内容や、高齢者の動作に対するロボットの反応など、認知症高齢者がより身近にロボットを扱うことができるようにさらに改良を行っている。 また認知症高齢者から得られたデータは1名のみのため、最終年度ではさらに対象を増やしデータを収集していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度はケア付き高齢者住宅等に入居中の軽度認知症高齢者を対象としたコミュニケーションロボットを用いたデータの収集を行い、その結果により在宅における認知症高齢者の認知機能を向上できるプログラムの改良を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究2年目にコミュニケーションロボットを3台追加購入する予定であったが、研究対象者の調査時期が重ならなかったことで、初年度購入したロボットのプログラム改良の時期を外して計画的に調査を行うことができ、次年度使用額が発生した。 最終年度は研究報告書作成及びコミュニケーションロボット使用説明書を作成するため画像編集を効率よく行うためのPCを購入する予定である。
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Research Products
(5 results)