2019 Fiscal Year Research-status Report
ロボットを用いた認知症高齢者に対するセルフモニタリングシステムの構築
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17K12438
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
横島 啓子 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 教授 (50369469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 圭子 武庫川女子大学, 看護学部, 講師 (10563877)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | コミュニケーションロボット / 認知機能向上 / ライフログ |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は単身世帯のMCIの高齢者を対象とするため、前年度に使用したコミュニケーションロボットの内容を一部変更した。変更した内容は、対象者から発語があった場合の相槌、高齢者が自分で歌を止める操作ができないことを想定し、歌を歌う場合は1番のみとした。なぞなぞを考える際は、何を考えているかわからなくなるため、途中で再度問題を繰り返す。ロボットを抱き上げたり、頭を撫でる動作がみられる場合は、センサーで感知してロボットからリアクションに合った言葉を発する等である。 対象者はサービス付き高齢者住宅入居中のMCI高齢者2名であり、日中はほとんど居室で過ごされている方とした。調査方法は、①ロボットの対応として生活リズムに応じた声掛け、②午前、午後の歌、③午前:なぞなぞゲーム、④午後:声掛けによる足踏み運動を行い、認知機能の評価はMMSE,FABの得点比較、LED反応計測システムのランダムボタン押し60回達成課題及び記憶誘導順序課題(2×5課題)により行った。 その結果、ロボット使用前後の認知機能は2名とも達成課題の所要時間が短縮されており、集中して取り組めるようになっていた。FABの「Go/No Go(抑制コントロール)」の項目はロボット使用後も0点であり、ロボットを用いた介入でも反射的な行動を抑制する機能の向上は得られにくいことが明らかになった。コミュニケーションロボットが話しかけるため、それに対しての発語がみられたり、抱き上げる際のロボットのリアクションによって、「あら、どうしましょう。おばあちゃんはどうしてあげればいいのかしら」と自らロボットを抱きしめたり、揺らしたりする行動がみられており、「何をするのか」という問いかけに、今日は「〇〇をするのよ」や「今〇〇をしたの」など、自らの行動の報告を行っており、生活に即した一連の対応が認知機能の向上につながることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属機関の変更に伴い、新たに研究協力者を募る必要が生じた。特に2019年度は軽度認知症者(MCI)の独居高齢者を研究対象としたため、本人及び家族(保証人)に研究協力の同意を得る必要があり、研究同意と実施までに時間を要した。そのため、当初予定していた3名の協力を得ることはできなかったが、2名のMCI独居高齢者に対して調査を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
独居の軽度認知症者(MCI)および日中独居の認知症高齢者に対し、生活リズムに合わせた声掛けなどを主としたコミュニケーションロボットを活用し行動を振り返ることは、認知機能の活性化に役立つことが明らかとなった。 最終年度は施設内における認知症高齢者を対象とし、施設内の生活リズムを基本としたロボットの改良を行う予定である。
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Causes of Carryover |
所属機関を変更したことにより、研究協力者のリクルートに時間を要し計画通りに研究を遂行できなかったため予算を執行できなかった。 次年度は施設内で調査を行うとともに、これまでの研究成果を国際学会で発表するための旅費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)