2017 Fiscal Year Research-status Report
後期高齢者の医療費適正化に向けた日本流服薬コンコーダンスのモデル構築
Project/Area Number |
17K12444
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
有田 久美 福岡大学, 医学部, 講師 (60526523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久木原 博子 福岡大学, 医学部, 教授 (50268950)
岡崎 美智子 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 教授 (60279354)
大川 法子 (岩下法子) 福岡大学, 医学部, 助教 (40571310)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 後期高齢者 / 服薬 / コンコーダンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、後期高齢者の薬剤費用の適正化へ寄与するために、服薬コンコーダンスの障害となっているものは何か実態について後期高齢者、医療者双方への調査を行うことを目的としている。研究実施計画は4段階である。①後期高齢者を対象にした服薬アドヒアランスの状況および後期高齢者の価値信念のどの要素が服薬の選択における意思決定に影響するのか、ヒアリング調査の実施。②病院の看護師を対象として、服薬管理に対する取り組みのヒアリング調査の実施。③その課題を基に、服薬コンコーダンスへの課題を整理し質問紙を作成後全国調査を実施。④日本流を検討する比較として、文化背景や社会制度が似ている韓国における高齢者への服薬状況の調査実施である。 現在①については調査は終了した段階である。高脂血症で外来クリニックへ通院中の後期高齢療養者を対象として、A市近郊の3つのクリニックにおいて、33名を対象にインタビュー調査を実施した。調査内容は、服薬することは患者にとってどのような意味があるのか(価値)、薬を飲む目的は何か、薬を飲み続けることをどのように考えるか、薬を飲むことは自分で納得して飲んでいるのか(信念)薬が自分にとって重要と考えるか、等である。現在インタビュー内容を逐語録におこし分析中である。「子供に迷惑かけたくない」「医師への信頼」「健康に暮らしたい」などの信念が中心概念として抽出されているが、さらに信頼度を高めるため、スーパーバイズを受けながら分析予定である。 今後、できるだけ早急に②③の段階へ進むよう、病院との調整を開始する予定である。④に関しては、現在調整中であり、質問紙の作成に当初の予定より時間がかかることが予測できたため、韓国語の翻訳者の協力も得て実践できるように計画していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究者が2017年4月~10月までの6カ月間、長期在外研究員として韓国に派遣されたため、その間、計画していた日本での調査実施ができなかった。そのため現在のところ第1段階の調査を分析中である。また、韓国研修中に第4段階の韓国での調査を実施予定であったが、研究の調整や、文献検討、調査票の選定などに時間を要し調査実施まで至らなかった。調査票が韓国語で作成する必要もあり、当初予定したよりもさらに準備に時間がかかることが予測される。ただし、韓国滞在中に、韓国で協力を得られる韓国人教授とのコミュニケーションも取れ研究の基盤作りはできた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の第1段階のヒアリング調査の分析を終了し、学会や論文投稿などで発表する予定である。第2段階へ進むため、文献検討を進める。それと同時に、病院における服薬管理の実態を、特定機能病院、地域医療支援病院の看護師を対象としてヒアリングを行う。調査内容は、病院の基本情報、服薬管理へのそれぞれの職種の取り組み、日常的な服薬管理の方法、服薬指導の実際について、服薬指導に関する困難事例、服薬コンコーダンスへの取り組み、研修、チームでの関わりなどである。その調査を基に、全国の郵送調査の質問紙表を作成する。平成30年度終了前までには、全国1000病院程度を無作為抽出し、郵送調査を実施する。
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Causes of Carryover |
2017年度に科研費の交付が決定した時点で、研究者が韓国へ在外研究のため6か月派遣されており、その間の助成金の使用ができなかった。そのため、当初の研究計画から若干の遅れがあり、助成金が余剰した。平成30年度は、病院看護師を対象とした調査を実施するため、会議費や通信費、謝金、また調査の協力やデータ集計のための事務補佐員の人件費、調査結果集計のためのパソコン購入などに使用する。加えて、学会発表や最新の情報収集のための学習会やシンポジウム参加等の旅費に使用予定である。
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