2017 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of criteria for Residents with health and welfare services for the elderly providing necessary services
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17K12449
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
高倉 恭子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (50324083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立瀬 剛志 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (30397228)
梅村 俊彰 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (90523936)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | サービス付き高齢者向け住宅 / サービスの質 / サービスの評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)の質評価を目的に初年度の平成29年は、全国のサ高住を対象にアンケートによる実態調査実施を予定していた。しかし、平成30年が診療・介護報酬同時改定の年であり、訪問介護事業所、通所介護併設のサ高住では介護報酬の引き下げとなることが分かった。減収が見込まれるサ高住では、ケアの質保持と経営安定化に向けて、運営の方向性を検討せざるを得ない年となった。以上から、報酬改定を翌年に控えた年の調査結果は、次年度以降に反映しづらく、アンケート回収率も低下しやすい等の理由から、当初の研究計画を変更し、アンケート実施に向けての資料、情報収集を実施することとした。 内容は、資料収集と文献検討、学会参加による情報収集とした。内容は、1.サ高住住宅数や設置者の状況と傾向 2.サ高住住居者を対象としたアンケート調査による住まいの評価 3.平成30年介護報酬改定による影響とした。 結果の概要について「1.サ高住住宅数の傾向」は、2017年12月時点登録数は6,877棟で、設置開始から増加傾向は継続。家賃(最も多い18-20平方m)は平均5万円で、サ高住事業者併設の介護事業所からのサービス提供は86%。「2.サ高住住居者を対象としたアンケート調査による住まいの評価」では『サ高住での生活で重視する点は医療、介護サービス、緊急対応』、『今の生活に満足している57%』、『安否確認を受けている63%』、『催し物参加55%』等の結果が示された。「3.介護報酬改定による影響」はサ高住併設の医療機関や介護事業所がある場合、減収が見込まれるとの回答が多かった。 以上の通り、サ高住の利用状況報告は多いが、サ高住運営者を対象に課題等を把握した報告はなく、サ高住の目的に準じたケアと人材の有り方、質の定義、サ高住の評価のあり方について、現場の実態から把握、検討する必要性は非常に高いと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)の質評価を目的に今年度実施したことは、資料収集と文献検討、学会参加による情報収集であった。得られた結果の中で、全国で最もサ高住が多く設置する大阪府の調査結果(大阪府高齢者保健福祉計画推進審議会専門部会報告書「大阪府における介護施策の現状と課題、対応の方向性について平成28年12月16日)の資料を中心に、次年度実施予定のアンケート調査の参考となる内容を検討した。 介護報酬改定では自設の施設から訪問介護を利用すると報酬引き下げをするとあるが、大阪の場合、地域特性から介護サービス事業所の指定を受けていないサ高住が多く、殊に外部の在宅サービス利用に係る受給者1名当たり単位数が高くなっている。よって、自設のサービス利用はマイナスではないと考えられた。また、本研究者が実施した調査(H27サ高住運営者を対象としたサ高住の実態調査)では『サ高住のサービス向上を考えると人件費が嵩み、自施設の介護サービス利用で利益をあげている状況』『サ高住が提供するサービスを理解せず、必要以上にサービスを要求する入居者や家族』『家族や要介護度が高くなり、サ高住本来の目的を越えたサービスを提供しなければならない状況が増え、その対応が困難』『国の言う職員の配置体制では到底ケアはできない』『夜間の見守りの対応は、自分の施設の職員でなければ出来ない』とあった。不必要な囲い込みは排除する必要はあるが、要介護度が高い高齢者が増えた場合、実際の対応は困難と考えられる。サ高住創設当初は地域包括ケアシステムの住まいの1つに含められていたが、身体面のケア、地域コミュニティとの関わり、低所得者の対応等も課題となっている。介護施設併設型のサ高住運営のあり方、サ高住の運営と経営を前提としたケア提供のあり方等も含め、サ高住の評価はどうあるべきかの検討が必要であることを資料等の検討から把握した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終目的は、サ高住の質の評価とその評価項目の設定である。この評価にあたっては、経営の維持に反するものではあってはならず、利益追求とサービスの質の両立を考えなければならない。サ高住は『運営者が医療や介護関係とは限らない、経営者と運営者が異なる、大規模経営と小規模経営、大阪に特徴的とされる生活困難者が多いサ高住』など、特性は様々であり、利益とサービスの質の関係について、施設ごとに現実的な対策として何が必要かを把握しなければならない。しかし、サ高住は全国に約6800ヵ所あるため、どのような特徴や基準を有するサ高住に今回、焦点を当てるかの検討が必要となってくる。 本年度把握したサ高住の課題、報酬改定の影響も吟味した上で、アンケート項目作成時に、サ高住の経営者又は運営者にインタビューを行い、実態を反映させたアンケート作成と調査を行う予定である。得られた結果についてもサ高住運営者に意見を聞きたいと考えている。サ高住は終の住処として開始し、一部のケアはサ高住から、介護ケアは外部からの利用と複雑な面がある。需要の増加、異業種参入と倒産という課題もあり、今後のサ高住の方向性を現場の状況から把握することも重要である。ただし、今回、平成29年度の予定が変更となったため、進捗状況によっては平成32年度にアンケート回収、結果に関する意見のインタビュー、インタビューを含めたデータのまとめを行うことも考えている。
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Causes of Carryover |
サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)の質評価を目的に初年度である平成29年度は、サ高住の運営状況把握と質評価に関する運営者の考えの把握を目的にアンケート調査を予定していた。しかし、平成30年度が診療および介護報酬同時改定の年に当たり、今回の改定では、サ高住併設施施設からの介護サービス利用の場合、報酬引き下げの動きがあった。介護保険利用者が多いサ高住では、ケアの質保持と経営安定化に向けて、運営の方向性等を検討する年となった。よって、これまでの運営方法の変更やケアの提供方法の再考等を考えざるを得ない年にアンケートを行っても、本研究の目的を十分に達しえなく、さらには、この多忙な状況下、アンケート回収率も低下すると考えられた。 そこで、当初の研究計画を変更し、アンケート実施に向けての資料および情報収集を中心に実施することとした。以上の理由から当初予定していた予算執行に至らなかった。 次年度は今年度の予算も加えた上で、アンケート実施とその評価を行う予定とする。
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Research Products
(2 results)