2021 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of criteria for Residents with health and welfare services for the elderly providing necessary services
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17K12449
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
高倉 恭子 富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (50324083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立瀬 剛志 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (30397228)
梅村 俊彰 富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (90523936)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | サービス付き高齢者向け住宅 / 介護施設化 / 医療的ケア / 外付けサービス / コロナ感染対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
介護施設入所条件が要介護3以上に変更以降、サ高住(26万人利用)の介護施設化が進んでいる。これに伴い、「医療や介護のケア」が必要になるが、サ高住に看護師等の設置義務はなく、利用者は外付けサービス(訪問看護やデイサービス等)を使うとしている。しかし、利用者は費用負荷を避けたく、厚労省の抱え込み対策もあり、行う必要のないサ高住の専門職者が提供。今後、サ高住の需要が増すのは明らかで、ケアの提供内容や方法、質の担保の要件検討は必須である。 今年度は、その現状と課題を明らかにすべく、サ高住に求められるケア、必要な専門職等の把握を目的に「サ高住で提供するケア」と「専門職者の雇用有無」の関係を分析した。但し、コロナ感染拡大に伴うサ高住運営者への調査困難から、サ高住情報データ(登録情報から500施設を無作為抽出)を使用した。 『各種資格有無』と『各種ケアの実施有無』についてカイ二乗にて分析。p<0.05のケアを→以降に記載。 利用者の内、約3割が要介護3以上。『サ高住専従の介護福祉士有無』→インスリン、ペースメーカー、IVH。『安否確認状況【1回以上/日】』→鼻腔経管、IVH、ストーマ、気管切開。『【居宅介護支援】利用有無』→インスリン、ペースメーカー、透析。『訪問介護利用有無』→インスリン、透析、鼻腔経管、気管切開。『併設の訪問介護事業所利用有/無』」→インスリン、ペースメーカー、透析、尿バルーン、褥瘡。『【訪問看護】利用有無』→インスリン、ペースメーカー、透析、尿バルーン、IVH、ALS、鼻腔経管、IVH、気管切開。『介護サービス利用人数【定期巡回】併設事業所利用有無』→IVH、インスリン、ペースメーカー、透析、尿バルーン、ストーマ、ALS、褥瘡。『駅近』→重度認知症、ペースメーカー、気管切開、褥瘡。 以上より、外付けサービス、専従の介護及び看護職員がケアの実施に影響していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ感染拡大および、高齢者への感染リスク対策により、サ高住訪問による調査が一昨年から実施不可の状況で、サ高住運営者にインタビューを依頼できる状況にもない。そこで、一般財団法人サービス付き高齢者向け住宅協会(国土交通省・厚生労働省所管事業)の全国のサ高住のデータ(総登録件数 8,069の内500件数を無作為抽出)から得た「サ高住で実施しているケア」と「研究者が設定したケア」に関わる要因との関係について分析した。 結果として、介護、看護の専門職によるケアの提供とその必要性が明らかになったが、サ高住の外付けサービス利用制限、サ高住が提供する有料サービスの追加が困難(入居者の多くは年金生活者でその費用負担を拒む、家族の理解も得られない)が喫緊の課題で、さらにコロナ感染予防と感染者への対応等もある。場合によって、サ高住がボランティアで対応する必要があり、看取りまでを見越した住まいというサ高住本来の目的達成は困難な状況下にある。 また、本研究の課題「過不足ないサービス付帯の実質化に向けた基準の整備」に関しては、サ高住という住まいでの「①生活とQOLの確保を目指したサービス」「②要介護3以上の高齢者増加に伴う医療的ケア(医療サービス)の必要性の高まり」「③コロナ感染対策として必要な医療、介護のケアを誰が行うのか」の3点に関する検討の必要性が明らかになった。 また、感染者に対するケアの実施も重要であるが、当初の研究目的にはなかったため、本年度の調査内容には含めていなかった。しかし、高齢者の生活の場である以上、感染対策は必須であり、サ高住に特化した感染対策体制および、感染予防体制を綿密に設定する必要性も考察できた。 以上より、①医療、介護のケア内容の設定②未感染者における感染予防対策③感染者に対するケアと感染拡大の抑制に必要な「サ高住での対策」について考察する必要性を今回の分析から得た。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ感染拡大および、高齢者への感染リスク対策により、サ高住訪問による調査が一昨年から実施不可で、更に、サ高住運営者にインタビューを依頼できる状況にもなかったため、サービス付き高齢者向け住宅協会(国土交通省・厚生労働省所管事業)が提供するサ高住のデータの一部を使い(総登録件数 8,069の内、500を無作為抽出)、サ高住で提供する医療的ケア内容と研究者が設定したケア提供に関わる要因との関係を分析した。 結果、介護や看護の専門職の存在が高齢者のケアに必須であることが明らかとなった。一方、喫緊の課題であるコロナ対策も必要であるのだが、サ高住での外付けサービス利用の制限(厚労省設定)、サ高住利用者の追加サービス利用(入居者の大半は年金生活者で利用金額増はほぼ不可)等がマイナスに影響し、看取りまでを見越した住まいというサ高住本来の目的は危ぶまれる状況にある。 ついては、今後の推進方策として、本研究テーマ「過不足ないサービス付帯の実質化に向けた基準の整備」に『コロナ感染対策』『サ高住本来の目的』『高齢者世帯増加等の現状』を加味し「①現在のサ高住に求められる実際のサービス、そのサービス提供におけるサ高住の職員数や資格、利用料金との不一致」「②サ高住での要介護3以上の入居者増により必要となる医療的ケアの内容とケア提供者の有り方」「③コロナ感染対策として必要な医療、介護のケア」に関する内容や基準の検討が必要と考える。 感染者へのケアは、当初の研究目的にはないが、サ高住においてもコロナ感染対策は必須であり、サ高住に特化した感染対策の体制整備を設定する必要がある。 今後は、今回の分析結果と上記の検討内容についてサ高住関係者からコメントを得て、現在、および今後のサ高住に求められること、制度との矛盾点を考察する。そして、課題が多い高齢者の住まいとケア、看取りに関するサ高住の要件を検討する。
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Causes of Carryover |
今年度は、サ高住へのインタビュー調査が行えず、旅費やインタビュー分析に必要な経費執行に至らなかった(インタビューの方法に関する書籍等や準備に必要な物品の購入のみ)。 次年度は、可能な限りインタビューを行い、旅費・インタビュー分析に関する予算の使用を計画している。 コロナ対策で実施が難しい場合は、インターネットによる質問調査およびデータ集計の代行の経費、オンラインでのインタビューへの謝礼等に使用する計画である。
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