2022 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of criteria for Residents with health and welfare services for the elderly providing necessary services
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17K12449
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
高倉 恭子 富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (50324083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立瀬 剛志 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (30397228)
梅村 俊彰 富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (90523936)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サービス付き高齢者向け住宅 / 医療ケア / 訪問看護 / 訪問診療 / 外付けサービス |
Outline of Annual Research Achievements |
サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住/厚労省・国土交通省所管)における介護施設の代替利用(老人保健施設入所要件が要介護3以上変更)が増加し、サ高住における医療ケアと介護の提供に関する課題検討は必須の状況である。 サ高住に医療と介護の提供義務はないが(入居者が外付けサービスとして訪問介護、訪問看護や訪問診療等を自ら利用)、入居者と家族の理解不足、サービスの費用負担拒否等からサ高住の持ち出しによるケアが通常化しつつある。高齢化の伸展、高齢者単独世帯増は必至であり、高齢者の生活とケアの確保は今後の社会保障の課題と言える。 本研究では、医療ケアに着目し「サ高住で提供される医療ケアの実状把握、ケア提供の有り方」の検討を目的に(一社) 高齢者住宅協会資料から、暮らしの場でのケア提供に関する状況を把握した。 8,209棟(281,127戸)のサ高住について、全国6区分(北海道・東北/関東/北陸・中部/近畿/中国・四国/九州・沖縄)ごとにサ高住棟数を確認。各区分の中で「サ高住数最多の県」を選択。その県所在のサ高住について『医療ケア(褥瘡、人工透析、経管栄養、気管切開、ストーマ等の14)』の全てに実績有のサ高住(件)を選択。結果は①北海道(3棟/530棟)②埼玉県(3棟/197棟)③愛知県(2棟/320棟)④大阪府(2棟/803棟)⑤広島県(5棟/241棟)⑥福岡県(0棟/230棟)、最多で3%程であった。 実績有の特徴に「サ高住専従の看護師」「医療機関との連携」「訪問看護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用」等があった。以上から、利用者による外部サービス利用が必須で、サ高住専従の医療又は介護の専門職者雇用も求められる。囲い込みの問題が生じたが、サ高住での有資格者の設置、サ高住の報酬体制・外部の医療サービス利用条件等の再検討、サ高住の制度上の位置付に関する法整備が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年に引き続き、コロナ感染対策が継続して行われていた。サ高住運営者に身体上のケア内容や訪問診療、訪問看護、病院との連携を聞き取っても、コロナ感染に関わる回答が多数を占めると予想された。そこで、既存資料【(一社) 高齢者住宅協会資料:サービス付き高齢者向け住宅の登録件数は、2023年1月末で8,184件(281,127戸)。前月より19件(743戸)、前年同月より144件(7,303戸)増加】から、サ高住の医療ケアの実績等を確認し、本研究の課題を考察した。 サ高住は、介護施設化が進んでおり、設置棟数増を継続するサ高住において、医療ケアを要する居住者増は明らかである。居宅サービス(例:訪問看護、訪問リハビリ)、訪問診療等の利用は必須と言える。わが国の現状として「高齢者単独世帯、高齢夫婦世帯や8050問題と称される高齢の親と独身の子のみの世帯増加」「65歳以上の生活保護受給者の割増加(サ高住は生活保護者入居可)」等の社会的課題を背景とする「高齢者の暮らしの課題」が更に浮彫りになったと考えられた。 生活自体に課題を持つ高齢者の増加は、過去に問題視されがサ高住による囲い込みとしてみなされてしまうケースが増すとも言える。 高齢者とその家族の家族構成、生活力、経済問題が複雑に関わり、住まいの問題だけで収拾できないと推測された。 本研究の開始当初は、高齢者の住まい問題として考えていたが、サ高住でのケアの提供に関する制度上の問題と規制の設定に今後のサ高住の課題があるとの示唆を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ感染対策により、各サ高住において身体管理および医療ケアの方法、他機関との連携のあり方に変化(変更)が生じたと予想する。 そこで、コロナ感染対策を含めた入居者の疾患や身体上のケアの実際(内容)と誰がどのようにそのケアを提供したかについて、サ高住運営者に聞き取りをする。 また、そのケアについて、サ高住の設置母体の業種が関わるため、設置母体状況と経営上の課題を把握する(サ高住の課題とされた囲い込みのメリット、デメリット、訪問診療の必要性と診療報酬との兼ね合い等も含める)。把握において、サ高住運営者、ケアマネジャー等の在宅療養の専門職者、訪問診療医等にインタビューを行う。その結果から、サ高住のみならず、サ高住にケアを提供する専門職者からの見解を得た上で、高齢者の住まいと介護、看取りの場としての機能とその条件等について考察する。また住まい・介護・医療・看取り・生活支援(生きがい創出含)のどれを得意とするか、その背景と経営および運営方法についても聞き取り、今後のサ高住の役割、可能性についても検討する。
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Causes of Carryover |
サ高住への訪問調査が行えず、学会発表のみを行った。発表は、オンデマンド配信で交通費等の支も無く、次年度に使用することとなった。 次年度は、訪問可能なサ高住に伺い、インタビュを行う予定である。また、その結果は、学会発表、論文投稿(海外の雑誌投稿を予定)を行う予定で、学会参加の諸経費や論文投稿の諸経費に使用する。
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Research Products
(1 results)