2017 Fiscal Year Research-status Report
精神看護における治療的関係のマネジメント力を育むシミュレーション教育モデルの構築
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17K12462
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
河村 奈美子 (大西) 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (50344560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 佳世子 札幌市立大学, デザイン学部, 教授 (40337051)
岩本 祐一 大分大学, 医学部, 助教 (00734659)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 精神看護 / 教育 / シミュレーション / 関係構築 / 治療的関係 / 看護師-患者関係 / コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
精神医療の大きな課題であるクライエントの早期の地域生活への移行を支援するため看護師の高度な実践技術が要求され、また精神看護を学ぶ学生も専門的で実践的な精神看護技術の学習が求められている。このような背景をうけ、精神看護領域における教育の中でも、専門性のある治療的看護師-患者関係の構築にむけた内容が欠かせない。そのために、この関係構築において必要とされるさまざまな構成要素と共にそれらの構成要素をマネジメントする力が重要であるとされている。 しかし、このマネジメント力については未だ不明瞭であり、本研究ではまず精神看護のExpert レベルにある看護師の備える治療的看護師-患者間の専門性の高いマネジメント力について明らかにする。さらに、その成果を看護教育のシミュレーション教育に適用し、その教育の評価を得ることを目的としている。 本研究により実施を予定していることの1つ目は、精神科CNS を含めたExpert レベルにある看護実践者の治療的看護師-患者関係のマネジメントの構成要素について質的分析により解明することである。関係を構築する要素としての思いやり、尊重、誠実、共感、自己開示、ユーモアなどを、involvement/over-involvement の概念を軸にしてどのようにコントロールされているのか、そのマネジメント力を特定し記述することが必要で、これに関しては、現在一部の対象者の面接を修了したところであり、分析中である。また分析後にさらに対象者を増やして、面接を実施する予定である。 2つ目は、シミュレーション教育の新たな方法を検討することである。これまで実施してきたシミュレーション教育に、看護師-患者関係におけるマネジメント力において学習可能である部分について現在分析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は、実習前の精神看護学演習においてシミュレーションを取り入れた演習を受けた学生の観察の視点を分析することと、精神科領域においてエキスパートレベルにある看護師の患者との関係調整に関する意識についてインタビューを用いて質的に分析し、明らかにすることを行った。 倫理審査書類の作成に時間を要した。 学生の視点の分析に関しては、現在、分析中であるが、学生が観察していることとして、「コミュニケーションスキルに関すること」、「看護師の指導方法に関すること」、「患者との関係の持ち方に関すること」にして着目していることがみえてきている。特に、「関係の持ち方」に関しては、患者の思いと看護師の伝えることの会話の量のバランスや、伝え方のバランスに着目していることについて読み取れている。 エキスパートレベルにある看護師に対する患者との関係構築及び関係の維持の方法に関するインタビュー調査を実施しており、4名の対象者のインタビューを実施しており、引き続き分析と面接を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、平成29年度に引き続き、シミュレーションを取り入れた演習を受けた学生の観察の視点を分析することを継続し、また精神科領域においてエキスパートレベルにある看護師の患者との関係調整に関する意識について引き続き分析しながら、対象者を増やし面接を行う。 また、導者レベルの看護師のスーパーヴァイズの視点を加え学生のシミュレーション教育の実施を予定している。スーパーヴァイズを看護師より得られることの学生の学習の効果を明らかにするとともに、スーパーヴァイズを行う看護師が得られた内容に関しても分析を行い、より専門的で実践的な効果の得られるシミュレーション教育の構成を検討する。 平成31年度は学生が学習可能な患者との関係構築や維持に関するメネジメント力の要素を含めたシミュレーション教育を提案し、実施し評価を得る予定である。 また、結果に関しては、随時公表をする予定である。
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Causes of Carryover |
倫理審査書類の作成に時間を要し、研究に着手する時期が遅れて、予定していたインタビューを用いた質的研究が終了しなかった。これにより、インタビュー調査は次年度引き続き実施する予定となり、人件費や謝金の出費がなくなった。当初予定していた情報収集のための学会参加については、今年度業務の調整上難しくなり、既存資料や、シミュレーション教育施設や教育の実際からの情報収集に変更したため、予定より、経費が抑えられた。 次年度はが今年度よ終了しなかった面接調査の実施をよていしており、予定よりも旅費が必要となる見込みである。
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