2018 Fiscal Year Research-status Report
居宅要介護高齢者に対する集団音楽療法プログラム開発に向けた基礎的研究
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17K12469
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
横井 和美 滋賀県立大学, 人間看護学部, 教授 (80300226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 文子 大垣女子短期大学, その他部局等, 教授 (00369521)
中川 美和 滋賀県立大学, 人間看護学部, 講師 (80778647)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 音楽療法 / 音楽療法士 / 集団援助技術 / 専門技術 / 居宅要介護高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、居宅要介護高齢者に対する集団音楽療法の有効性と理論的基盤を検証し、集団音楽療法プログラムの開発に向けたモデル作成をめざすものである。 2017年度は介護保険制度が開始されてから要介護高齢者の集団に対して行われてきた研究を概観し、要介護高齢者の集団に対して明らかになっていることを整理し、我が国の居宅要介護高齢者の集団に対する課題について検討をおこなった。 2018年度は、集団を対象とした音楽療法の経緯やスキルについてNR-JACNet(ニューヨーク大学ノードフ・ロビンズ音楽療法センター日米コミュニケーションプログラム)から講師を招きディスカッションを行い、調査項目の検討をおこなった。 その結果、プログラム開発に向けて、まず、居宅サービス施設で要介護高齢者の集団を対象とした音楽療法において、音楽療法士はどのような関わりをおこなっているのか音楽療法の実践から明らかにし、音楽療法士の介入技術の専門性を追究することを目的として調査を行うこととした。 調査項目を決定していく上で、音楽療法の対象者別の様々な方法を共有・再利用可能な形式に整えるオントロジーの手法を用いて、先行研究では明らかになっていない現象に着目していくこととした。音楽療法は音楽の力を活用して心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上に向けて、意図的、計画的に活用して行われる療法技法あるとされていることから、着目していく視点は「音楽療法士と集団全体」「音楽療法士と個人」「集団の中の個人間」として、集団に対する音楽療法の意図的、計画的な技法を分析していくこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度は、文献検討から着眼する調査目的や調査項目を明らかにし、2018年度末に「居宅サービス施設で要介護高齢者の集団を対象とした音楽療法の音楽療法士の関わり」について追究する研究について所属施設の研究倫理審査委員会の承認を得た。 データ収集は、①調査表を用いた構造面接で集団の捉え方や実施される音楽療法プログラム等に関しての事前調査、②音楽療法の実施場面に参加し、MTの個人に対する関わり方、MTの集団に対しての関わり方を観察する参加観察、③実施後に意識した集団に対する関わりや集団の反応によって変更した音楽療法のプログラム内容等についてインタビューガイドに基づき半構造面接でデータ収集を行っている。対象者の選定方針として、居宅サービス施設で要介護高齢者の集団を対象とした音楽療法を行っている音楽療法士(日本音楽療法学会認定者)で本研究の趣旨に賛同し同意した者とした。ただし、実践場面での音楽療法士の会話の録音もあるため実施施設からの同意が得られない場合は除くとした。 現在、経営母体が同系列の居宅サービス施設で異なった集団に対して音楽療法を行っている音楽療法士や経営母体の異なった居宅サービス施設での音楽療法士についてもデータ取集を行っている。類似点として、居宅サービス施設で要介護高齢者の集団を対象とした音楽療法は、施設の目標を組み入れてプログラムを構成していたり、居宅サービス施設での要介護高齢者はメンバーの入れ替わりが多いことから短期に達成できる音楽活動を提供していたりしていることが見出された。
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Strategy for Future Research Activity |
研究対象としている日本音楽療法学会認定音楽療法士は、2018年では全国で3156名程度であり、居宅サービス施設で要介護高齢者を対象として音楽療法活動を行っている音楽療法士は限られている。今後も研究協力の得られる音楽療法士の広報活動を継続し、調査数を増して集団に対する音楽療法士の関わり内容を明らかにしていく。 また、居宅サービス施設を利用する要介護高齢者は、制度の改革もあり8割が要介護1と要介護2の高齢者となってきており、集団メンバーの入れ替わりも激しいところもある。このことから、変化していく集団に対して、その都度、どのような関わりを行っているのかも調査し、要介護高齢者の集団に対する音楽療法士の関わりを追究しプログラム要素を検討していく。
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Causes of Carryover |
2018年度から居宅要介護高齢者の集団に対して実施されている音楽療法の調査を行う予定であったが、調査項目の吟味に時間を要し倫理審査委員会承認後の調査開始が遅くなった。そのため調査に関する費用を2019年度に繰り越すこととなった。
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