2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of a Support Tool to Encourage the Alcoholism Treatment in Specialized Hospital
Project/Area Number |
17K12492
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
伊藤 桂子 東邦大学, 看護学部, 教授 (40600028)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 留伊 東京医療保健大学, 看護学部, 准教授 (10469976)
真栄里 仁 独立行政法人国立病院機構(久里浜医療センター臨床研究部), その他部局等, 医長 (90560558)
宮城 真樹 東邦大学, 看護学部, 助教 (00595085)
後藤 喜広 東邦大学, 看護学部, 助教 (40758207)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | アルコール依存症 / 総合病院の精神科病棟 / 治療介入支援ツールの開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、統合病院の精神科病棟で使用するアルコール依存症者治療介入支援ツールを開発し、その効果を検証することである。 アルコール依存症の未治療者は、身体疾患の治療で総合病院に入退院を繰り返したり、事故や自殺未遂などによって救急搬送される場合も多い。このような患者は、生命の危機を脱したのちに精神科病棟に転科して治療を受けることになる。しかし、総合病院の精神科病棟は急性期、亜急性期の患者が多く、身体疾患を合併する患者が多いことから、専門的な心理教育を行うことが難しい状況にある。 このような現状から、我々が計画している具体的な研究項目は、①3次救急指定の総合病院の精神科病棟におけるアルコール依存症者の治療および支援の実態と課題を明らかにする、②総合病院の精神科病棟で活用するアルコール依存症者治療介入支援ツールの開発を行う、③開発した治療介入支援ツールを活用し、その効果を検証する、の3つである。 平成29年度の研究課題は3次救急指定の総合病院の精神科病棟におけるアルコール依存症者の治療および支援の実態を明らかにすることである。そのために、3次救急指定の総合病院の精神科病棟の医師、看護師、精神保健福祉士を対象とした質的記述的調査を行った。調査内容は当該病棟に入院となるアルコール依存症者の入院経緯、入院中の対応、関わる際に留意していること、転院や退院に向けた関わりについてである。対象者から同意を得たうえで、1人40分から60分の半構造化面接を行った。許可を得て、その内容をICレコーダーに録音して、録音内容を逐語記録にそのまま起こしたのち、トランスクリプト作成する。トランスクリプトを読み込み、コード化して、相似性・類似性に従ってカテゴリを抽出し、質的記述的に分析する。現在のところ、9名(医師2名、看護師5名、精神保健福祉士2名)にインタビュー調査を終了している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は、総合病院の精神科病棟で使用するアルコール依存症者治療介入支援ツールを開発し、その効果を検証することであり、現在のところ総合病院の精神科病棟におけるアルコール依存症の治療および支援の実態を調査中である。都内近郊の3次救急指定の総合病院で精神科病棟を有する施設に研究協力を得て、調査を進めている。 調査の手続きとしては、研究協力に賛同を得た施設で研究協力者募集のポスターを掲示し、研究参加希望者からポスターに掲載したメールアドレスに連絡をしてもらい、研究の説明と同意を得る日程を調整し、同意を得た後にインタビュー調査を実施している。 この手続きに予測以上の時間を要しており、現在のところ、9名(医師2名、看護師5名、精神保健福祉士2名)のインタビュー調査が終了している。このため、達成度は2割程度である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の調査で得たデータの解析を行い、3次救急指定の総合病院の精神科病棟でのアルコール依存症の治療および支援の実態を明らかにする。さらに調査結果から、総合病院の精神科病棟におけるアルコール依存症者の治療に関する課題を考慮して、効果的な治療介入支援を検討する。 検討結果から総合病院で活用できる治療者(医師や看護師など)用の介入支援マニュアルと患者が使用する心理教育ワークブックを作成することを予定している。考案した治療支援介入ツールは簡便に利用できるように冊子にする。さらに、治療介入支援ツールの活用に関する勉強会を開催し、治療者によるフォーカスグループミーティングを実施することによって、実用に即したものに改変する。
|
Causes of Carryover |
平成29年度は総合病院の精神科病棟におけるアルコール依存症の治療および支援の実態調査を行った。調査の手続きとしては、研究協力に賛同を得た施設で研究協力者募集のポスターを掲示し、研究参加希望者からポスターに掲載したメールアドレスに連絡をしてもらい、研究の説明と同意を得る日程を調整し、同意を得た後にインタビュー調査を実施した。この手続きに予測以上の時間がかかり、逐語録作成やデータ解析に関する諸経費が年度内に使用できなかったため、必要経費の未使用が生じた。 次年度は逐語録作成のためのテープ起こしを業者委託することと、データ解析のため使用する統計解析ソフトを最新のバージョンにするための保守契約更新で研究費を使用する。 また、複数の専門家の協力を得て、質的な分析の信頼性や妥当性を確保する。そのため、分析における研究協力費(交通費含む)、会場費、会議運営などの諸経費に研究費を使用する。さらに研究結果は国内外の学会や学術誌で公表するため、その諸経費に研究費を使用する予定である。
|