2019 Fiscal Year Research-status Report
精神科病院における統合失調症患者のターミナルケアの推進に向けた方略の開発
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17K12501
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
荒木 孝治 大阪医科大学, 看護学部, 教授 (40326286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瓜崎 貴雄 大阪医科大学, 看護学部, 准教授 (20584048)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ターミナルケア / 統合失調症 / 精神科病院 / 看護師 / 態度 |
Outline of Annual Research Achievements |
「精神科病院における統合失調症患者に対するターミナルケアの現状に関する実態調査」 2019年度は、分析結果を2題の演題(「精神科病院における統合失調症患者に対するターミナルケアの提供体制と看護師の役割」「精神科病院における統合失調症患者へのターミナルケアに対する看護師の態度と看護組織のチーム力との関連 」)に纏めて、日本看護研究学会にて発表した。また、日本精神保健看護学会誌28巻2号に論文(「精神科病院における統合失調症患者に対するターミナルケアの実態と看護師の態度」)が掲載された。論文の詳細は以下のとおりである。 精神科病院における統合失調症患者に対するターミナルケアの実態とターミナルケアに臨む看護師の態度の関連要因を明らかにすることを目的とした。精神科病院973施設の看護師(1名/施設)を対象とし、郵送法にて質問紙調査を実施した。回収した142部のうち、有効回答の79部を分析した。質的分析の結果、精神科病院において看護師は、設備やマンパワーの不備があるなかで、患者や家族の思いを尊重した看護を実践しているが、精神科病院が孤立していて他院の協力が得られない状況や、患者の意思確認が難しい状況があるなど、その実践には様々な困難を伴うために、看護を否定的に捉えていることが明らかとなった。一方、量的分析の結果、①設備やマンパワーの充実度が高い、②患者と家族への精神的なサポート体制がある、③身体合併症看護への不安が小さい、④看護組織チーム力が高いと、看護師のターミナルケアへの態度が肯定的であることが示された。
「統合失調症患者に対するターミナルケアにおける看護師にとっての体験の意味に関する質的研究」 2019年度は、研究参加者2施設13名のデータ分析を行った。現象学的方法を用いて、その時々の状況で看護師が何を感じ取っていたか、その気づき方はどのようなものであったかについて分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究期間(補助事業期間)を1年間延長した。理由は次の2点である。一点目は、ターミナルケアに携わった看護師の体験の意味や実践知に関するデータを現象学的に分析しているが、これに時間を要するためである。二点目は、研究成果の一部を海外の学会で発表する予定があるためである。なお、2020年8月に開催予定の第16回国際行動医学会において発表が採択されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響のため、学会が1年延期になった。そのため、研究期間(補助事業期間)のなかで発表することが困難になった。
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Strategy for Future Research Activity |
「統合失調症患者に対するターミナルケアにおける看護師にとっての体験の意味に関する質的研究」 2020年度は、引き続き、研究参加者2施設13名のデータ分析を継続して実施する。各個人の分析に引き続き、参加者を身体合併症看護への不安(大・小)とターミナルケアへの態度(肯定・否定)の2軸から分類し、各群毎の分析結果をまとめて論文の作成を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度に、「統合失調症患者に対するターミナルケアにおける看護師にとっての体験の意味に関する質的研究」について発表を行うことができなかったためである。 研究費は主に、学会発表を行う際の旅費、論文作成の際の校正にかかる費用などに充てる予定である。
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