2020 Fiscal Year Research-status Report
精神科病院における統合失調症患者のターミナルケアの推進に向けた方略の開発
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17K12501
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
荒木 孝治 大阪医科大学, 看護学部, 教授 (40326286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瓜崎 貴雄 大阪医科大学, 看護学部, 准教授 (20584048)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ターミナルケア / 統合失調症 / 精神科病院 / 看護師 / 態度 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、前年度に引き続き、2施設13名の研究参加者のデータ分析を行った。そして、分析結果の一部を、第40回日本看護科学学会学術集会にて発表した。概要は次のとおりである。 【目的】目的は、看護師の身体合併症への不安とターミナルケアの態度の両観点から、統合失調症患者に対するターミナルケアの特徴を明らかにすることである。【方法】1.対象者:単科精神科病院1施設の看護師8名。2.調査方法:1)半構造化面接。研究目的に該当する事例を想起させ、対象者の気づきや状況に注目して面接を実施。2)質問紙調査。面接前に(1)看護師の個人特性(2)身体合併症看護に対する不安(VAS:Visual Analog Scale)(以下、不安とする)(3)ターミナルケアの態度(中井他,2006)(以下、態度とする)等から構成された質問紙調査を実施。3.分析方法:Giorgiの現象学的方法を参考にして、対象者毎に何を感じ取っていたか、その気づき方はどうであったかを分析した。不安と態度の中央値を用いて、対象者を不安大・態度肯定:A群、不安大・態度否定:B群、不安小・態度肯定:C群、不安小・態度否定:D群に分類した。4つの群毎に共通する特徴を抽出した。【結果】対象者はA群1名、B群3名、C群3名、D群1名に分類された。A群は「開き直って患者の話を傾聴する」、B群は「その時々の患者と家族の感情に関わる」、C群は「患者の尊厳を含めた倫理的課題を見て取る」、D群は「患者と家族の仲介の方法など、自分ができることを模索する」という特徴があった。【考察】4つの類型毎に、看護師のターミナルケアの特徴が異なることが明らかになった。精神科病棟ではこれらの特徴をもった看護師が一緒にケアを行っている。看護管理者は各看護師の特徴が活かされ、有機的に協働できるよう支援することで、ターミナルケアの充実を図ることができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度から看護師の体験の意味や実践知に関するデータを現象学的に分析しているが、当初予定していたよりも、これに時間を要している。コロナによる影響で研究に費やす時間を十分に捻出することができなかったことが原因の一つであると考えられる。また、海外の学会で研究成果を発表する予定にしていたが、コロナによる影響で学会の開催が見送られたことも影響している。
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Strategy for Future Research Activity |
残りの5名の参加者のデータ分析を行う。その後、全13名の分析結果を総合する段階へと分析をすすめ、統合失調症患者のターミナルケアについての看護師の体験の意味や実践知に関する普遍的な要素を見出していく。そして、これまでの研究の成果を総合して、精神科病院における統合失調症患者のターミナルケアの推進に向けた方略を検討する。なお、分析結果については、海外の学会ではなく、国内の学会での発表を予定している。
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Causes of Carryover |
海外の学会での発表を予定していたが、コロナによって開催が見送られた。次年度は、論文執筆にかかる書籍の購入、国内学会での研究成果の公表にかかる諸費用などに、研究費を充てる予定である。
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