2020 Fiscal Year Research-status Report
避難所環境整備のための国際基準を日本・先進国版へ改定する取り組み
Project/Area Number |
17K12521
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
原田 奈穂子 宮崎大学, 医学部, 教授 (70637925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
圓山 琢也 熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 准教授 (20361529)
笠岡 宜代 (坪山宜代) 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 国際栄養情報センター, 室長 (70321891)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 災害 / 避難所 / 環境 / 健康被害 / スフィアスタンダード |
Outline of Annual Research Achievements |
避難所環境の指標について飲料水・生活用水・手洗い環境・食料・寝具・電気・ガス・湿度温度・過密度の9つの指標について、スフィアスタンダードに基づきかつ日本の避難所の実際に合わせたコンテクスト化を行った。これらの項目は厚生労働省令和2年7月「令和元年度医療・保健・福祉と防災の連携に関する作業グループにおける議論の取りまとめについて」事務連絡内資料のラピッドアセスメントシートに対応させ、今後の災害対応時における実用化を進めた。 また、医療職、保健職、福祉職、一般災害ボランティアを対象にこれらの9つの指標に関する対応優先度を調査し、Kuraskal Wallis test およびSteel Dwass test分析の結果では特性が異なる集団でも、飲料水、トイレ、食料が最優先事項であることが明らかになった。これらの3項目は同時にプッシュ型支援による全数充足を目指す必要性、寝具はプッシュ型支援に含まれているため、上記に合わせて日本型TKB(トイレ・キッチン・ベッド)整備の推進で、避難所の質の向上へ寄与の可能性が示唆された。また、手洗い環境・生活用水は自衛隊や上下水道局などWASH分野の支援組織との更なる関係強化が必要であることが示唆された 。これらの分析によって、災害支援の分野や職種が異なっても、スフィア基準の指標を用いることによりアセスメント情報に基づいた広域における、優先すべき対応事項決定の迅速化が示唆された。保健職員の分析結果は日本災害医学会で発表し、前向きな評価と他のアセスメントシート使用者との整合性の必要性など多くの示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オンラインアプリケーション開発については、テスト版のパイロットを新型コロナウイルス感染症流行のため少人数ではあるが実施し、高齢者、障碍者、ICTリテラシーの高くないユーザー等からユーザーフレンドリー度を高めるために継続的にフィードバックを収集している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年も新型コロナウイルス感染症の流行が続き、データ収集や、フィードバック収集が小規模でしかできないこと、対象のICTリテラシーによってはオンラインでのデータ収集ができず予想以上に時間がかかってはいるものの、昨年度の遅れはおおむね取り戻せたと分析する。今後はアプリケーションの最終化と論文化、および社会的還元を進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症流行により、データ収集が対面で行うことが不可能になり、また学会等がオンライン化したため旅費での支出が激減したため。
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Research Products
(6 results)