2017 Fiscal Year Research-status Report
訪問看護師が家族介護者に用いる遺族ケアアセスメントシートの開発
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17K12531
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
工藤 朋子 岩手県立大学, 看護学部, 教授 (50305265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高岩 奈津美 岩手県立大学, 看護学部, 助教 (10806201)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 家族介護者支援 / 訪問看護 / 遺族ケアアセスメント |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、これまで実施してきた調査を分析し、死別後支援が必要な家族介護者を訪問看護師が予測する要因を抽出した。 主治医より終末期と説明があった訪問看護利用者の家族介護者170人を対象に、15事業所の看護師が、質問紙を基に死別後支援を予測する要因の調査(死別前調査)、死別後支援の必要性の有無を判断する調査(死別後調査)を訪問時に行った。両調査が行われた105人のうち同意を得た家族介護者30人に、研究者が聞き取りによる質問紙調査(うつ病自己評価尺度CES-D、健康関連QOL尺度SF-8)を実施し、看護師の判断を検証した。先行研究等を基に選定した調査項目(要因)は、経験10年以上の訪問看護師3名が内容妥当性を確認した。分析は、死別後支援の必要性の有無を目的変数、死別前調査の要因を説明変数に、数量化2類を用いた。 家族介護者は平均年齢70.5±11.8歳、続柄は妻が40 %を占めた。死別後支援の必要性の有無は支援不要群17人(56.7 %)、支援必要群13人(43.3 %)であった。死別後支援が必要な家族介護者を訪問看護師が予測する要因は、治療中の疾患・医療に対する不満・経済的負担の有無など7項目が抽出され(判別的中率76.7%, 相関比0.42, P=0.000)、7つの要因が重複した場合に死別リスクが高まり、死別後支援が必要と判断される可能性が示された。看護師の判断は基準関連妥当性が検証された。 死別後支援が必要な家族介護者をアセスメントするツール開発の可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
死別後支援が必要な家族介護者を訪問看護師が予測する要因に加え、死別前調査・死別後調査を実施した訪問看護事業所の管理者を対象とした面接調査から、死別後支援が必要な家族介護者を訪問看護師がアセスメントする上での課題・副次的効果を明らかにすることができたため、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究成果は、関連学会で発表していく予定である。また、これまでの調査から、医療保険による訪問看護利用者家族介護者の継続支援について課題が見出されている。そこで、訪問看護事業所と市区町村(訪問看護情報提供書の窓口)との連携の実態を明らかにするために、市区町村を対象に質問紙による全国調査を実施する。連携の実態から課題を分析し、死別後の家族介護者が生活を再構築する際、訪問看護師が支援を早期に展開する方策を検討する。
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Causes of Carryover |
調査旅費は、対象者の地域に応じ、私用車を使用した場合もあるため、支出が計上額を下回った。次年度に実施する質問紙調査(発送アルバイト謝金・郵送)に使用する予定である。
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