2021 Fiscal Year Annual Research Report
Actual Conditions of Employment of Patients with Amyotrophic Lateral Sclerosis and Development of a Model for Employment Support Based on Case Studies
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17K12547
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
小長谷 百絵 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (10269293)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / 就労支援 / 重度訪問介護 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋萎縮性側索硬化症(以下ALS)は、「難病の患者に対する医療等に関する法律」の指定難病の一つであるが、難病法の基本方針には「国民の理解の促進と社会参加のための施策の充実」がある。しかし社会参加のための就労支援に関してALSは全身性の重度障害のため就労を断念せざるを得ない。 そこで今回は就労経験があり、ALSと診断され、介護保険要介護4以上、あるいは身体障害者手帳1級を持つ女性3名、男性10名に、病前の仕事の中断理由から就労のために必要な支援や制度を明らかにすることを目的にインタビュー調査を行った。本研究は所属機関の「人を対象とする研究」に関する倫理委員会の承認を得て行った。 病前の仕事の中断の理由として、日常生活に介助が必要になり特に音声による会話機能が低下したことが主な理由であった。また、天職と思っていた仕事ができなくなったことや、仕事の内容の劣化をいち早く感じたことから自ら退職をしていた。会社経営者は従業員の生活を第一に考え会社を手放すタイミングで仕事から身を引いた。女性は仕事と家事の両立が困難となり退職に至っていた。その他に家族が通勤や仕事の支援をしていたが長期に及ぶ家族の負担が増し退職をしていた。 仕事継続に向けて必要な支援としては、音声の会話機能が残っている状態でも意思伝達伝達の補助装具費を早期に支給対象とすること、インターフェイスである各種スイッチ導入の技術者を増やすことが挙げられる。さらに通勤や就労時の重度訪問介護のヘルパーの支援の利用の促進などが挙げられる。 インタビュー調査をもとに①発症前の就労、③発症前の就労の中断理由や原因、④病前の就労を維持するために必要な支援、⑤現在の社会参参画状況と支援体制、⑥主観的QOL尺度(川南, 2000年)からなる入力作業が容易であるwebによる調査をALS療養者を対象として所属大学の「人を対象とする」倫理委員会の承認を得て開始している。
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