2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K12548
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
石原 孝子 東海大学, 健康科学部, 講師 (70580851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡部 明子 東海大学, 健康科学部, 准教授 (90287053)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 医療的ケア / 通常学校 / 教育関係者 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、医療的ケアを要する在宅療養児が就学する際に生じる「学校における医療的ケアの実施」に関する現状を把握するとともに、教育関係者の認識や判断、行動を明らかにし、課題を明確にすることを目的に、全国の市町村教育委員会担当者、当該児童の在籍する小学校の校長および担当教員を対象に無記名自記式質問紙調査(郵送法)を実施した。文部科学省の調査報告に基づいて全国すべての都道府県および政令指定都市に調査の打診を行い、協力の意思を確認できた91教育委員会と172小学校に調査票を依頼した。調査内容は、基本属性、当該児童に対するサポート状況、導入時の認識と判断、学校での医療的ケア、導入に際しての準備や調整、連携状況、看護師の配置、課題認識であった。38教育委員会および82小学校の回答が得られた。分析は記述統計を算出し、自由記載は意味内容から類似する意見を抽出した。 結果としては、当該児童の把握は保護者の学校への来訪によるものが最も多く、把握の時期は就学の半年以上前であった。特別支援学校ではなく通常学校への就学を希望していることから、学校の環境や医療的ケアの実施者、安全への配慮や学校行事への参加などの相談が寄せられた。学校側の受け入れは基本的に前向きであり、保護者の要望にできる限りこたえる姿勢が顕著であった。教育的視点からも前向きな意思が多く認められ、当該児童のみならず他の児童への成長発達を促す視点が明確であった。課題として、人材確保や費用負担の問題、保護者の付き添いのあり方、緊急時対応が共通していた。 今年度は、教育委員会担当者、小学校の担当教員および校長へのインタビュー調査により、通常学校における医療的ケアのあり方について質的記述的研究を実施する予定である。また、それらの教育関係者からの紹介により、当該児童の保護者へのアクセスが可能な場合は、インタビュー調査を実施したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに、全国の実態を把握するために都道府県および政令指定都市に打診を行ったが、協力を得られた自治体は非常に少数であった。教育関係者という対象から、実際に回答を得られるのはさらに少数と予想していたが、回収率は比較的高く、データとしては有効と考えられる。また、インタビューが可能な場合の連絡先の依頼には15名ほどの反応があり、こちらも実現可能な範囲と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、インタビュー調査を通して、個々の取り組み状況から導き出されることを整理し、サポートを必要とする子どもたちの教育権を確保するために必要なことを明確にしていく。また、教育関係者から当事者である保護者を紹介してもらい、調査対象者に加えることも方策として考えている。
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Causes of Carryover |
質問紙調査に際して、最初の打診の段階で当初予想をはるかに下回る数の協力しか得られず、質問紙を発送する数が計画より相当数低くなり、郵送費の支出が少なくなったため。 次年度はインタビュー調査の予定数が予想より多くなると考えられるため、対象者への謝礼や調査に要する交通費に充当する予定である。
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