2017 Fiscal Year Research-status Report
インドネシアのポシアンドゥを用いた地域共生の再編モデルの構築
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17K12550
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
芝山 江美子 神奈川工科大学, 看護学部, 特任教授 (00396392)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インドネシア / ジョグジャカルタ県 / Gamping地区 / ポシアンドゥ / カダール(ボランティア) / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
カダールも参加者もそれほど年齢の違わない人たちが支え合っている。その人々(カダール)はポシアンドウを他者の役に立つ良いこと、健康の知識が学べる、他者と仲良くなれる (交流)とポジティブに捉えている。またポシアンドウへの参加を嬉しいと感じており、仲間や高齢者と会える (交流)、人の役に立ち、生きがいに感じていた。一方で問題点として、人間関係関する苦労もある様子。それは日本と同じと考えられる。将来の不安として担い手の出現が挙げられており、日本と同様であると感じた。 高齢者も半数以上が就労しており、役割や楽しみを持っている。家族・友人との交流を特に楽しみとしている。ポシアンドウの取り組みも高齢者の楽しみとして有効である可能性が示された。家族形態の変化、高齢化、経済格差等の社会的な問題により、経済面と健康・孤独・死等に生活上の問題や将来の不安を感じており、特に拡大家族では生活上の問題を抱えている可能性が高い(そのため日本からの支援も経済・医療面の支援の希望が多い)。 インドネシア国ジョグジャカルタ県Gamping地区のカダール(インドネシアにおける地域ボランティア)や高齢者の生活実態を明らかにするために実施した。結果から核家族で生活の問題は無い場合が多く、拡大家族で問題が有る場合が多い可能性結果から伺えた。また、カダール(地域ボランティア)を継続的に実施する事か生きがい感を得ることにつながった。なお、地域互助型ボランティアによる生活、住民のニーズに沿う住民参加となり、今後も重要な地域再編モデルにの役割を担っていくものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学術的な特色・独創的な点が順当に調査を進めているうちにわかった。地域共生、地域おこしに、地域保健・共助ボランティアを取り込んだ点である。地域共生には、地域経済の活性化や文化伝統の継承が前面に押し出される。しかし現実の生活面における「活性化」が考えられてきただろうか。それは、高齢者と若年者が共に支え合う生活でもある。もちろん高齢者介護や高齢者の生活支援には公助による福祉の充実が図られている。そこに、高齢者・若年者の支え合う意識を生かした、ボランティアモデルが展開されれば、高齢者・若年者が共に輝く、地域社会が実現される。ことも今回の調査でわかった。 発展途上国の保健医療福祉システムの特徴は公助(国予算)がないこともあり、本研究は、インドネシアで行われている効果の評価を実施する数少ない研究でもある。インドネシアにおける共助は、以下のような満足感を生活に与えている。 家族や近隣に支えられて、物質的にも金銭的にも医療的にも恵まれないインドネシア一地域でも概ね今の生活に満足している(芝山他、2011~2016)。地域互助型ボランティアでは専門的なケアが行われているとは言い難い。良心に基づく活動が生まれる社会的・文化的な背景もあり、それは住民の90%以上がイスラム教であることも1つの誘因とも考えられる。 このような満足感が生まれることは、住民の地域共生への意欲となると考えられる。ボランティアの活動状況・促進要因・心理的効果についてレビューし、今後の限界集落における高齢者と若年者の自発的なボランティア活動の可能性を探り、共助の意識を向上させようとするのが、本研究の大きな特徴である。ことがよく理解でき、今後の研究の一助になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の調査をさらに地域全体のソーシャルキャピタル指数の変化からも合わせて評価する。そして、地域や隣人に対する思いも継続して住みたいかどうかなど、地域全体に対してイメージの変化も合わせて総合的に評価することが今後の研究の推進方策を進めていく。
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Causes of Carryover |
今年度、調査そのものは概ね予定通り進捗できた。 使用金額については中間報告書をまとめる予定であった。しかしながら、中間報告のみでは、詳細には伝えきれないために、次年度に総合的にインドネシアの報告書を完成することに至った。
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