2020 Fiscal Year Research-status Report
ポートフォリオを活用した地域の包括的発達支援システムの構築-援助要請の観点から-
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17K12561
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
臺 有桂 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 教授 (00341876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木田 美香子 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 教授 (50303558)
藤田 千春 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 教授 (70383552)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ポートフォリオ / 包括的発達支援 / 援助要請 / 幼児 / 保護者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、発達障害児ならびにその保護者(当事者)の主体的な援助要請を促すために、ポートフォリオを活用した包括的な発達支援システムを開発、その学術的・施策的有用性を評価することである。 本件に密接に関連する個別支援計画について、文科省から自治体向に個別カルテの作成義務の通達があったこと、さらにはcovid-19の影響により、計画を大幅に見直した。具体的には、発達障害者の“自立支援”に活用可能なポートフォリオの開発にゴール変更をすることとした。 前述の方針に基づき、2020年度は、covid-19下でも実施可能であった発達障害児の保護者を対象に調査を行った。【目的】当事者のポートフォリオに対するニーズを明らかにし、有効活用への示唆を得る。【方法】①療育に通園する幼児期の発達障害児の保護者8名とした。②調査は、医療機関と療育機関間の連携、ならびに情報伝達や管理に関するニーズについてとし、2020年10月~2021年1月にかけて個別のインタビューを実施し、質的帰納的に分析をした。【結果】療育施設に通う幼児の母親がポートフォリオに希望する内容は、①専門職と共有資料となりうるものにしたい、②育ちの確認や目安になるものにしたい、③母親の負担感が少ないもの、④母親の使い勝手がよいもの、⑤中身や個人が見た目にわからないものと、5つのカテゴリーに大別できた。【考察】支援や連携に必要な内容のみにとどまらず、写真、日記や創作した作品などの当事者の日々の成果物、支援者の気づきなど、当事者とその保護者が主体的に活用し、乳幼児期から就労支援まで、成長の確認や強みを実感できる“育ちを支えるもの”であることが期待される。 これらの結果に基づき、2021年度はポートフォリオの試作を試み、当事者並びに関係専門職種などの意見聴取をし、研究の総括を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
自治体等で標準的に使用できるポートフォリオ書式の開発から、部門を越えた連携のあり方を探るべく研究計画を立案していたが、実際の現場では既に新たな試みが動き始めていることから、研究計画の修正を余儀なくされたこと、さらにはcovid-19の影響で、対象者との接点を持つことが難しくなり、さらに1年間の研究期間延長に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、最終年度にあたるため、これまでの研究結果をもとに、発達障害者の“自立支援”に活用可能なポートフォリオの試作品を作成する。主な構成内容は、利用している社会資源、当該児・者の行動特性や対人面の特徴、特に得意とする点などを必ず盛り込むように検討を重ねている。その上で当事者並びに関係専門職種などの意見聴取をし、試作版ポートフォリオの評価、ならびに研究の総括を行う予定である。
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Causes of Carryover |
covid-19により、フィールドワークをはじめとした対象者との接触が不可となり、研究の遂行に遅延をきたした。そのため経費の使用も限られた範囲となってしまった。 2021年度は、最終年度に当たるため、これまでの結果をもとに、ポートフォリオの試作・検証を行う予定であり、これらにかかる費用は残額を充てる予定である。
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