2017 Fiscal Year Research-status Report
教育現場における遺児支援の構築に向けた介入ツールの開発と検証に関する研究
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17K12570
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 利憲 福島県立医科大学, 看護学部, 講師 (10583031)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 遺児支援 / グリーフケア / 学校メンタルヘルスリテラシー教育 / 学校保健 / 精神看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国では年間10万人の子どもが様々な死因により保護者を亡くし、その1割が自死遺児である。死別は誰もが体験するライフイベントであり、遺児・遺族支援は、コミュニティでの支援を充実させていくことが最も重要である。しかし、遺児支援はほとんど実施されておらず、コミュニティにおける遺児への理解は乏しい。特に多くの時間を過ごす学校においては、理解不足による他者の言動によって、様々な傷つき体験を繰り返している。このため本研究は、①学校での遺児の心理的ストレスや傷つき体験を明らかにするとともに、②児童生徒と小中学校教員を対象に、遺児の心理的特性と支援の理解度を調査する。さらには①②の結果から、学校での遺児の心理的特性と支援の理解度を高めるための介入ツールを開発し、その有効性を検証することを目的とした。本年度①については、全国の遺児支援団体へ調査協力依頼を実施し、今後の調査の実施に向けて準備を進めている。②については、調査対象予定の小学校、および中学校の理解と協力を得るために、県内で開催されている遺児・遺族支援プログラムの案内文を、9市町村の教育委員会、ならびに9市町村の小中学校(150校)に通う、全児童・生徒に約5万部配布した。また、他の地域の教育機関においても調査協力を得るために、各教育委員会や学校長への遺児・遺族支援についての説明を実施した。現在、今後の調査に向けて、学校長、または教師、養護教諭との調整を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度、コミュニティにおける遺児支援の実態や課題を調査する予定であったが、まだ実施できていない。理由は、教育機関の理解と協力を得るための説明等に時間を要したためである。実態や課題についての調査は実施できていないが、遺児支援プログラムを開催している研究協力者(団体)とともに、遺児・遺族の心理的・社会的・経済的な問題やニーズについての討議を定期的に開催している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画は以下の通りである。 ・遺児支援プログラムに参加している子どもを対象に、コミュニティや学校における遺児支援の実態や課題を、質問紙やグループインタビューにて調査する。 ・コミュニティや学校おける遺児の心理的特性や支援の理解度について、児童生徒と教員を対象に調査する。
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Causes of Carryover |
教育機関への遺児・遺族支援の説明に関する経費、および各地域での研究に関する打ち合わせ等の経費で使用したため。 おおむね計画通りに使用している。
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