2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of program to prevent social isolation and alleviate loneliness for mothers live in urban area
Project/Area Number |
17K12573
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
有本 梓 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (90451765)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田高 悦子 横浜市立大学, 医学部, 教授 (30333727)
大河内 彩子 (井出彩子) 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (70533074) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 乳幼児 / 母親 / 孤独感 / 社会的孤立 / プログラム開発 / 評価 / 尺度開発 / 調査研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
少子高齢化、核家族化、地域の希薄化などにより、乳幼児を育てる母親は孤独感を抱きやすいことが指摘されている。孤独感は、乳幼児を育てる母親の誰しもが経験する可能性のある心の状態である一方、程度が高じると、うつや育児不安などの母親の精神的健康の悪化につながる。しかし、母親の孤独感を軽減する方策の開発と評価に関する実証研究は少なく、プログラム開発が必要である。本研究の目的は、乳幼児の母親に対する孤独感軽減プログラムを開発することである。 令和元年度は、1) 乳幼児の母親に対する孤独感軽減プログラム案の評価指標の検討、2) 母親における孤独感の実態把握と孤独感に関連する要因の解明、3)乳幼児の母親に対する孤独感軽減プログラム案の開発を実施した。 1)については、評価指標として、UCLA孤独感尺度第3版短縮版2種の乳幼児の母親における妥当性・信頼性を明らかにし国際学術雑誌にて公表した。2)については、2都市において評価指標を用いた無記名自記式質問紙調査(乳幼児の母親1587名)を行い、孤独感の実態ならびに孤独感に関連する要因を明らかにした。また、保健師が支援したネグレクトサインを持つ乳児とその母親355事例の分析により孤立群ではネグレクトサインが有意に多く、特に留意すべき対象であることを明らかにした。さらに、インタビュー調査(支援に携わる保健師・子育て支援施設職員・民生児童委員等17名)を行い、孤独感を抱える養育者の特性をふまえたプログラム案について検討した。3)については、文献レビューから得た知見と調査結果を統合し、Precede-Proceed modelを用いてプログラムの枠組みと要素を検討した。 今年度の成果の意義は、乳幼児の母親に対する孤独感軽減プログラム案の枠組みと要素が調査による実態を加味して明らかとなった点である。今後の課題は、プログラム案の具体化および試行である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画で挙げていた、1)乳幼児の母親に対する孤独感軽減プログラム案の評価指標の信頼性・妥当性の検討および論文公表、2)乳幼児を育てる母親における社会的孤立の状況ならびに孤独感に影響を及ぼす母親の特性および地域特性の解明(質問紙調査)、3) エキスパートインタビューによるプログラム案の検討(インタビュー調査)、4)文献レビューおよび調査結果の統合による乳幼児の母親に対する孤独感軽減プログラム案の開発をおおむね予定通り進められた。一方で、当初計画に挙げていたプログラム案の試行と評価はフィールド確保の準備段階に留まった。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、乳幼児の母親における孤独感軽減プログラム案の洗練、および、プログラム案の試行と評価を行い、プログラム開発を目指す。その方策として、母親の特性および地域特性に関するアンケート調査の分析、国内外の文献レビューの追加・内容整理を行い、プログラム案に反映する。プログラム案については、研究協力地域ならびに先駆的活動地域における保健師等専門家および主任児童委員・ボランティア等の地域住民、本領域に精通した研究者・実践者を選定し、専門的知識の提供を受ける。 今後の研究遂行の推進に向けて、これまで以上に、プログラム開発に係る委託、研究協力者の雇用を積極的に行う。
|
Causes of Carryover |
令和元年度の使用予定額は、乳幼児の母親における孤独感軽減支援プログラム案を作成することを目的とした調査実施計画に伴う、消耗品、調査旅費、資料・調査票の印刷費、郵送費、研究協力者雇用費用、専門家への謝金、会議費、資料などであった。このうち、調査フィールドとの協働に伴い、調査にかかる印刷費・郵送費が当初見込みに比べ少額となった。加えて、調査フィールドの地理的特性、研究協力者の確保状況などにより、調査旅費、研究協力者雇用費用、謝金が当初見込みに比べ少額となった。 次年度使用額は、プログラム試行および評価のため、調査旅費、印刷費、郵送費、委託費、研究協力者雇用費用、専門家への謝金に用いる。また、研究成果の公表(国際学術雑誌投稿等)のために用いる。
|
Remarks |
プログラムの評価指標として乳幼児の母親を対象に妥当性・信頼性を検証し、国際学術雑誌に公表した「日本語版 Short-form UCLA 孤独感尺度(第3 版) 10項目版・3項目版」が掲載されている。
|
Research Products
(5 results)