2017 Fiscal Year Research-status Report
バヌアツ国の子どもと保護者の喫煙・飲酒行動と保健教育プログラムの開発に関する研究
Project/Area Number |
17K12604
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Research Institution | Sonoda Women's University |
Principal Investigator |
中世古 恵美 園田学園女子大学, 人間健康学部, 助教 (00513425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小寺 さやか 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (30509617)
中澤 港 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (40251227)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バヌアツ国 / 喫煙 / 飲酒 / 子ども / 保護者 / 保健教育プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、バヌアツ国の子どもの喫煙・飲酒に対する意識及び行動と、保護者の喫煙・飲酒に対する意識及び行動との関連について明らかにし、子どもと保護者に対する保健教育プログラムを開発することを目的としている。 1.2017年8月、本研究への助言と協力を得るため、関係機関(教育省初等教育課、セファ州教育事務所、保健省NCD課)を訪問し、予備調査対象校として首都ポートビラ近郊に位置する英語系小学校1校、本調査対象校として首都ポートビラ市内にある英語系とフランス語系小学校各1校、首都が存在するエファテ島北部にある英語系小学校1校の計3校を選定した。 2.2017年8月、首都に在住する10~20代の若者、子育ての経験のある30~40代の保護者数名から聞き取り調査を行い、10代男性の喫煙のきっかけの1つに友人からの誘いがあることやマリファナや葉タバコを売る売人がいることなどが明らかとなった。 3.2018年3月、バヌアツ国セファ州エファテ島にある英語系小学校1校の小学校6年生の子ども31名(男子14名・女子17名)とその保護者13名(父親5名、母親8名)を対象に質問紙調査の予備調査を実施した。主な調査項目は、喫煙・飲酒に関する行動、意識、知識、態度、友人・家族の喫煙・飲酒行動、保護者の子どもに対する養育態度であった。子どもへの調査の結果、喫煙経験者は2名(男女各1名)、飲酒経験者は2名(男女各1名)、マリファナ経験者は女子2名であった。家族に喫煙者がいると回答した割合は50%、同じく飲酒では69.2%、親しい友人で喫煙する人が全くいないと回答した割合は32.0%、同じく飲酒では20.0%であった。保護者への調査では、「成人前に自分の子どもが喫煙・飲酒することを許すか」に対し、全員が「許さない」と回答したが、子どもにタバコ買いに行かせたことがあると回答した保護者は4名、同じくお酒では2名であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は調査地域であるバヌアツ国に2回渡航し、フィールド調査、質問紙調査の予備調査、本調査対象校の選定を行うことができた。フィールド調査ではバヌアツ国の若者を取り巻く喫煙、飲酒、マリファナの実態について把握することができた。予備調査では本調査に向けて調査票の内容妥当性について検証するための基礎資料を得ることができた。以上から予定していた研究計画をほぼ実施することができたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.予備調査のデータ分析と内容妥当性のある本調査質問項目の作成 2018年3月に実施した予備調査データを分析し、本調査の調査項目を作成する。予備調査では子どもの調査票は英語、保護者の調査票は英語とバヌアツ国の現地共通語であるビスラマ語併記としたが本調査対象校の1つであるフランス語系小学校校長から、子どもの質問紙の言語は子どもの言語理解の面からフランス語だけでなくビスラマ語併記が望ましいとの意見があった。よって本調査の調査票は、子ども、保護者共に、英語もしくはフランス語とビスラマ語の2つの言語併記とする。 質問項目の内容や質問数に関しても予備調査の結果を踏まえ、見直しを行う。子どもの自尊心感情と喫煙・飲酒行動、喫煙・飲酒への意識との関連を明らかにするために、ローゼンバーグのセルフエスティーム尺度10項目を用いたが、他の質問項目よりも無回答の割合が高く、質問紙調査中も子どもから「問われている意味が分からない」との反応が見られた。子どもの権利が保障されているとは言い難いバヌアツ国の子どもにとっては自尊心感情そのものの理解が困難であると考えらえるため質問項目を見直す。また、子ども・保護者共に予定よりも回答に多くの時間を要したため、質問数の見直しを行う。 2.本調査の実施 2018年9月、バヌアツ国エファテ島の首都にある英語系小学校1校、フランス語系小学校1校、エファテ島北部の英語系小学校1校の計3校において小学校6~8年生の子どもとその保護者を対象に本調査を実施する。予定される対象者数(子どもと保護者セットデータ)は英語系小学校約400組、フランス語系小学校約180組、合計約580組である。本調査で得たデータから、子どもの喫煙・飲酒行動、喫煙・飲酒に対する意識・知識と保護者の喫煙・飲酒行動、喫煙・飲酒に対する意識・知識、養育態度、社会経済的地位、その他の要因との関連について明らかにする。
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Causes of Carryover |
バヌアツ共和国への出張を1回の予定で計画していたが、研究協力機関への調整と予備調査で2回出張することとなった。物品費を出張費に回す必要が生じ、物品の購入を制限したため次年度使用額が生じた。次年度使用額は主に物品購入費に使用する予定である。
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