2019 Fiscal Year Research-status Report
民生委員を対象とした高齢者虐待予防プログラムの開発と導入の効果
Project/Area Number |
17K12606
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
林 真二 安田女子大学, 教育学部, 准教授 (50635373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
百田 武司 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 教授 (30432305)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 高齢者虐待 / 地域高齢者 / 民生委員 / 虐待予防 / 保健福祉行政システム |
Outline of Annual Research Achievements |
地域高齢者の虐待を早期に把握,対処,予防するために,地域で見守り支援・予防活動を行う民生委員との連携・協働・支援による保健福祉行政システムの構築について検討した.関係機関へのインタビューを通して,民生委員は訪問や地区活動を通して,当事者や近隣住民からの情報が集約される経路にいて,高齢者福祉部署や地域包括支援センターの相談窓口につないだり,その後の継続的な見守り活動も行うなど,身近な場所での迅速な把握,対処に必要不可欠な人材であることが再認識できた.しかしながら,高齢化とともに増加すると危惧される虐待対応に地域の民生委員の負担がないよう,早期発見とつなぐ仕組みを作るため,本研究では,民生委員用の簡易高齢者虐待チェックリストを作成した.一般的に早期発見,早期対処することで,虐待の悪化や対応の負担も軽減すると言われているため,チェックリストを通じて協力市町の民生委員への啓発も含めて行った. チェックリストは,先行文献等より抽出した40項目から表面妥当性を検討し選定した25項目の虐待サインをA町民生委員48人とB市専門職108人に自記式質問紙により,各項目の「虐待の疑いの程度」「事実確認の必要性(緊急性)」について,それぞれ4件法で尋ねた.民生委員調査及び専門職調査の統計分析(記述統計,両者の認識の比較分析)を行い,専門職調査データを基に探索的因子分析,確認的因子分析を行い,最終的に19項目の簡易チェックリストを作成した. その後,作成したチェックリストをA市の民生委員633名に配布し,民生委員会長への使用説明・虐待の啓発を行うとともに,各地区民生委員にも民生委員協議会を通じて,同様に啓発・使用説明を行った.配布後,虐待発生や経過報告でチェックリストを活用した事例において,地域包括支援センター及び保健センターの虐待対応の追跡調査を行い,現在有効な支援システムについて分析している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年西日本豪雨災害にて,研究協力機関の自治体・地域包括支援センターの機能と地域の民生委員活動が一時中断した影響があるため遅延している.現在は,協力機関も復興回復し,虐待の把握,対処,予防が行われている.
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Strategy for Future Research Activity |
地域高齢者の虐待を早期に把握,対処,予防するための,地域の民生委員に配布された民生委員用高齢者虐待チェックリストを基に,保健福祉行政・地域包括支援センター等の対応・再発予防が行われている.今後,専門職の対応に関する追跡調査結果をもとに,民生委員と保健福祉行政が連携,協働,支援した活動や課題を分析し,有効な方策や各役割を明らかにしていく.また,導き出した地域の民生委員と専門職が連携する虐待予防の保健福祉行政システム案や早期把握に使用した民生委員用の高齢者虐待チェックリストについては,最終的に専門職会議を通して検討し,システム化や活用方法を検討することとする.
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Causes of Carryover |
平成30年西日本豪雨災害にて,研究協力機関の自治体・地域包括支援センターの機能と地域の民生委員活動が一時中断した影響があるため研究が遅延している.そのため,当初の計画で予算していた虐待予防の専門職対応やシステム化への費用等が必要になっている.
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