2022 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of Development and Introduction of Elderly Abuse Prevention Program for Local Welfare Workers
Project/Area Number |
17K12606
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
林 真二 安田女子大学, 教育学部, 准教授 (50635373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
百田 武司 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 教授 (30432305)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高齢者虐待 / 民生委員 / 早期把握 / 保健福祉専門職 / 連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,地域住民の生活状況把握や生活相談等を日常的に行っている民生委員と関係機関保健福祉専門職との連携による虐待予防を意識した予防プログラムを構築することであった。研究1では、民生委員が虐待状況を地域高齢者の日常生活行動から早期に把握できるよう,民生委員用高齢者虐待チェックリスト(以下,チェックリストと記す)を開発すること、研究2として,開発したチェックリストを実際の民生委員活動の中で使用し,保健・福祉職の活動につなぐことにより,虐待の早期把握,予防,対処のプログラムを構築することである。 チェックリストの開発は,文献検討より抽出した専門職用のアセスメント表等から高齢者虐待の疑われる場面や状況を示すものを選定した25項目のチェックリスト案を作成し,A県B町の民生委員48人とA県C市の保健・福祉専門職108人を対象に質問紙調査を行い比較分析した。専門職側の虐待の疑い得点を観測変数として因子分析を行った結果より,4因子19項目に分類された。各因子は第1因子(9項目)【家族介護力の低下】,第2因子(4項目)【高齢者の生活行動が不自然】,第3因子(4項目)【本人の訴え】,第4因子(2項目)【所在の不確定】が見いだされ,虐待の予兆因子とされた。 これらの19項目のチェックリストについて,A県C市の民生委員協議会で説明し,6か月間の使用を通じて,相談窓口となる保健・福祉専門職に10事例の報告があった。該当状況(複数回答)でみると,家族介護力の低下が23件と多く,次に生活行動の不自然が7件であったが,本人の訴えも1件,所在の不確定も1件あり,すべての因子で該当していた。専門職の対応内容は,訪問対応8件,ケア会議の開催6件(複合対応)であり,チェックリストを通じた民生委員との連携強化により,高齢者虐待の早期発見・早期対処,虐待防止の機能的なネットワークづくりへの発展が期待できた。
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