2017 Fiscal Year Research-status Report
A Study for Comprehensive Value Assessment of Religious Heritage in Natural Disaster Response
Project/Area Number |
17K12614
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福島 綾子 九州大学, 芸術工学研究院, 助教 (50432878)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 教会堂 / 震災 / 営繕 / 信徒 / カトリック |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、北部九州のカトリック教会堂では、どのような営繕体制がとられているのか、その概要を把握する調査をおこなった。 カトリック福岡教区の協力を得て、教区(福岡県、熊本県、佐賀県)に所在する全ての小教区に対しアンケート調査を実施し、各小教区で教会堂営繕がどのようにおこなわれているかを把握した。アンケートでは、小教区では誰が営繕をおこなっているのかを尋ねた。具体的には、営繕の委員会をつくっているか、あるいは営繕の担当者がいるのか、どちらでもない場合は、誰が営繕を担当しているのかを尋ねた。さらに、営繕の委員会がつくられた時期、担当者の専門などについても質問した。アンケートの結果、比較的信者数の多い小教区では営繕委員会を設けている場合が多いが、信者数の少ない小教区では、営繕専門の委員会はなく、教会委員会が営繕を含めた全ての事柄を検討する場所であることが分かった。調査の結果、営繕体制にはいくつかのパターンがあることがわかった。 アンケート結果をもとに、いくつかの小教区を実際に訪問し、司祭や営繕を担当している信徒にインタビューをおこなった。また、熊本地震で被災した小教区も訪ね、どのような被災をし、誰が、どのように復旧、修復をおこなったのかを尋ねた。 アンケート調査と現地調査を踏まえ、営繕体制の類型化をおこなっている。さらに、それら類型化した営繕体制の代表的事例であると考えられる小教区を数件抽出した。これら事例のより具体的な調査を今後おこない、なぜ営繕するのか、具体的に誰が営繕をしているのか、奉仕でおこなている営繕は何か、奉仕ではできない営繕は何か、を把握してゆく。 カトリック福岡教区で、教会堂営繕に関する資料を収集した。これらを今後の考察に活用していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンケート調査と予備的現地調査により、概要把握と調査対象の絞り込みができ、今後の道筋がついた。 同時に、各小教区のより正確な営繕体制は、アンケートだけではわからず、実際に訪問して、信徒や司祭に話を聞かなければわからないということも実感した。詳細調査対象を絞り込みつつも、なるべく多くの小教区を訪問し、営繕の実状を把握する作業を続ける必要性があることも分かった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、2017年度のアンケート調査・予備的現地調査で絞り込んだ数件の小教区を複数回訪問し、より詳細な営繕体制の把握をおこなう。 同時に、詳細調査対象ではない小教区についても、少なくとも1回は訪問し、営繕体制を正確に理解することに努める。アンケート調査のみでは、営繕体制の実態を見誤る可能性があるからである。 カトリック福岡教区にて収集した営繕関係資料の整理、分析を進めてゆく。
|
Causes of Carryover |
2017年度は、アンケート調査実施や資料取集の多くの時間を費やした。これらはほとんど経費の発生する作業ではなかったため、経費の執行が少なくなった。アンケート調査とその分析に時間をかけたため、現地調査の回数が予定よりも少なくなった。 2018年度は、現地調査をおこない、繰り越した金額を執行してゆく予定である。
|