2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study for Comprehensive Value Assessment of Religious Heritage in Natural Disaster Response
Project/Area Number |
17K12614
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福島 綾子 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (50432878)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カトリック / 教会堂 / 営繕 / 災害 / 復旧 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年の熊本地震で被災したカトリック教会堂に関し、信者自らが建物の復旧をおこなった事例について、その復旧はどのようにおこなわれたのか、研究を継続した。 2019年度に調査をおこなったカトリック高遊原教会堂の復旧の実態に関する論文が2020年6月に日本建築学会技術報告集に掲載された。 2019年度までに熊本地震で被災し自力復旧した教会堂を2件を調査した結果、被災以前からの日常的な営繕活動があったために、早期の自力復旧が可能となったことがわかった。つまり、災害前から日常的に信者が建物の営繕をおこなってきたため、災害に際しても迅速な対応を信者のみでおこない、行政など外部組織に依存することなく、復旧することができた。このため、被災はしていない教会堂についても、日常的な営繕がどのようにおこなわれているかを調査することは重要と認識するようになった。そこで2019年度にカトリック馬渡島教会の営繕活動の調査をおこない、その成果を、2020年度に研究論文として投稿し、2021年2月、日本建築学会技術報告集に論文が掲載された。概要は以下である:馬渡島教会は、佐賀県の離島で、地域全体の人口減少、信者減少・高齢化が進む状況にあるため、信者は教会堂の維持に関して強い危機感を持った。そこで自ら建物営繕の長期計画をたて、実行した。日常の営繕と大規模改修に必要な費用を試算し、それを公平かつ透明な形で信者が負担し、長期的な営繕資金を確保した。大規模改修にあたっては、信者ができる作業は自らおこない、経費の縮減に努めた。これらのことを、教会所蔵の一次資料、すなわち事業の収支明細、作業の記録などを用いて、具体的に論証した。 感染症の流行により、2020年度は新たな現地調査をおこなうことができなかった。このため、既に収集していた資料を分析し、かつ遠隔で協力者からデータ提供を受けた。また、研究協力者からの助言を受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルス感染症流行により、現地調査ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は現地調査の実施を計画していたが、現時点では実施困難と思われる。既に収集している資料を分析し、かつ、遠隔などの方法で、協力者からデータや助言を提供してもらい、営繕と災害復旧の実態解明を進めていく。
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Causes of Carryover |
2020年度は感染症流行により現地調査が実施できなかったため、次年度使用額が生じた。2021年度も現地調査はできない可能性があるが、その場合は、可能な手段で資料を収集する、協力者に遠隔でデータや助言を提供していただく、などの方法で、使用していく計画である。
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Research Products
(2 results)