2021 Fiscal Year Annual Research Report
A Study for Comprehensive Value Assessment of Religious Heritage in Natural Disaster Response
Project/Area Number |
17K12614
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福島 綾子 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (50432878)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カトリック / 教会堂 / 営繕 / 災害 / 復旧 / 宗教建築 / 文化財価値 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度も感染症流行により予定していた現地調査ができなかった。したがって、主に既に収集した資料によって研究を進めた。 馬渡島教会の営繕について引き続き調査をおこなった。現地調査は実施できなかったが、教会関係者に電話などでインタビューし過去の営繕について情報を得た。呼子教会についても教会関係者から資料提供を受けた。 本研究の過程でカトリック福岡教区の倉庫において発見した戦前の文書や図面など史料を読み込み、建設・営繕に関する情報を収集した。これら史料一式を分析し、福岡教区の設立初期から戦前にかけてフランス人宣教師と日本人棟梁によっておこなわれた教会堂建設事業がどのようなものだったのかを論文として発表した。現在各教会でおこなわれている営繕は、その教会の固有の背景、すなわち教会の創設の経緯、宣教師たちが主導した建設活動、宣教師による資金調達と資金提供、宣教師牧活動などに影響され、形成されてきたものであることが史料分析によってわかってきた。例えば馬渡島教会では、昭和初期に教会堂を建て替える際、信徒が他地域の旧教会堂部材一式を購入して移築した。現在も、信徒は先祖たちが多大な努力と犠牲を払って教会堂を建設したことを聞いて知っており、そうした過去の経験の継承が、現在の営繕の動機の背景にあるということが見えてきた。他の教会においても、それぞれの歴史的背景が営繕活動のあり方に影響したであろう。このことについては、さらに時間をかけて研究し、成果を発表する予定である。 福岡教区の史料一式は新発見のもので、営繕研究によっても貴重な内容であるが、傷みが激しく、保管状況も良くない。このため、これら史料を今後どう保存、保管、活用していくかを、所有者である福岡教区と協議した。その結果、筆者が史料保存処置をおこないつつ、史料の整理、目録作成をおこなっていくということで合意した。
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Research Products
(1 results)