2017 Fiscal Year Research-status Report
熊本地震が産業集積に与えた影響と復興に向けた新たな存立基盤の形成に関する研究
Project/Area Number |
17K12617
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
西岡 正 兵庫県立大学, 経営研究科, 教授 (90369116)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 震災 / サプライチェーン / 復旧 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、熊本地震が自動車産業集積やサプライチェーンに与えた影響と、復旧・復興に向けた課題について明らかにするとともに、グローバル規模でのサプライチェーンの変化を踏まえた戦略転換を求められる産業集積が、新たな存立基盤を形成するために求められる課題について明らかにすることを目的としている。 本年度は、主に被災地における関連事業者の実態調査を行った。調査対象は完成車(二輪)メーカーであるホンダ熊本製作所(ホンダ熊本)、地場最大の生産規模を誇るサプライヤーであるアイシン九州、そしてこれらの関連サプライヤーである。ホンダ熊本とアイシン九州とも、熊本地震により大きな被害を受け、4カ月にわたり操業停止を余儀なくされたが、復旧プロセスは大きく異なる。前者が代替生産を行うことなく被災工場のみで生産復旧を追求したのに対し、後者は自社の設備と人員を九州内外に移設して代替生産を行いながら、被災工場の復旧を目指した。あわせて支援体制にも大きな違いが見られる。前者がもっぱら自社単体での復旧を目指したのに対し、後者は親会社であるアイシン精機やトヨタ自動車から大きな支援を受け、これが復旧に向けた大きな駆動力となった。こうした復旧に向けた取り組みや、支援体制の違いに問題意識に持って、実態調査を行った。 本年度の具体的な成果としては、西岡(2018)でアイシン九州の被災から代替生産、生産復旧までを事例として、サプライチェーンの復旧能力についての考察を公刊した。ここでは大規模な代替生産が早期に可能になった要因について明らかにするとともに、従来一括りにされてきた代替生産を「肩代わり型」「設備移設型」「ライン移設型」の3形態に分類して、考察することの必要性について指摘した。そのうえでサプライチェーン全体での復旧能力が向上していることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、熊本地震が自動車産業集積やサプライチェーンに与えた影響と復興に向けた課題を明らかにすることを目的に調査、研究している。調査・研究に関しては、関連資料の収集、被災企業や関係自治体等へのインタビュー調査等を主な手法としているが、本年度については、当初の目的通り調査・研究を進めることができたものと思料している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、昨年度に引き続き、被災企業の実態調査を進めるとともに、グルーバル規模での産業集積の存立基盤についても明らかにするため、海外調査を予定している。
|
Causes of Carryover |
被災地における実態調査を優先し海外調査を次年度以降に延期したため。 次年度については、タイ等アジア圏での海外調査を予定しており、当該資金を充当する計画である。
|
Research Products
(2 results)