2019 Fiscal Year Research-status Report
原発災害後故郷を離れた高齢者のウエルビーイングー福島県浪江町の人々の復興支援ー
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17K12618
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Research Institution | Shokei Gakuin College |
Principal Investigator |
水田 恵三 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 教授 (70219632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田山 淳 長崎大学, 教育学部, 准教授 (10468324)
藤本 吉則 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 准教授 (10757941)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 原発災害 / 復興 / 浪江町 |
Outline of Annual Research Achievements |
科研費にかかるアンケート調査は令和元年8月から12月にわたって、平成23年の原発事故以来、浪江町から各地に避難され、その地に留まられているか、浪江にお戻りになっている方500名を対象に実施した。令和2年3月の支援打ち切りを目前にして浪江の方がどのようにお暮らしで、どのようにお考えかを尋ねた。500名中240名の回答を得た。 (調査結果の概要) 今回の調査では、津島など帰還困難区域の人も回答頂いた。原発事故時のお住まいは、自宅の方が圧倒的に多かった。浪江には先祖代々100年から200年住んでいらっしゃり、50年以上お住まいの人が多い。震災前の浪江の暮らしや人々への思いが強い方が多い。その一方で避難先の地域への愛着は以前ほどではない。今回回答してくださった方の現住所は浪江町、いわき市、二本松市、南相馬市が多かった。現在周囲に助けてくれる人がいるかという問には8割以上の人がいると答えたが、14%はいないと答えていた。健康状態は おおむねよい、ややよいであったが、悪い、非常に悪いも15%いた。生きがいを感じるときは 家族との団らん、趣味やスポーツ、おいしいものを食べているときなどで 浪江の人々と集まっているときもあった。現在の生活に対する満足はおおむねやや満足であったが、自身の健康はやや不満に寄っていた。 原発災害後、浪江にある家を見に行った方は8割近くおり、先祖の墓にも時々行っている、浪江での行事には行かない人も4分の1ほどいる一方で、広報なみえは必ず見る人が大半であった。また、浪江で親しかった人には4分の3が連絡を取っていたが、取らない人も4分の1いた。住民票は移すつもりがない人、迷っている人が多い。 今後は浪江に戻らないと表明している人は少ないが元の暮らしや将来には悲観的な人が多いように思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンケート調査の結果も得られた。今後はこのアンケート結果の分析を現地の人にフィードバックして意見を伺っていく。さらに、学会発表も行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究最後の年に当たる本年度は、浪江町の人々の生きがいについて研究をまとめその結果を住民にフィードバックしていく。その中で浪江町に戻っている人々、リーダーの活動に焦点をあて、単に戻るだけではなくどのようなビジョンで町作りを考えているのかを伺い、来年度以降の研究につなげていきたい。
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Causes of Carryover |
アンケート調査にかかる経費が予想外に少なかったが、今後は結果をフィードバックするために現地に何度も通うので、その旅費に充てたい。
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