2020 Fiscal Year Research-status Report
福島近隣地域における地域再生と市民活動―宮城・茨城・栃木の相互比較研究―
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17K12632
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鴫原 敦子 東北大学, 農学研究科, 学術研究員 (80359538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蓮井 誠一郎 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (00361288)
原口 弥生 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (20375356)
清水 奈名子 宇都宮大学, 国際学部, 准教授 (40466678)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 低認知被災地 / 東日本大震災 / 原発事故 / 被害 / 復興 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初は本年が最終年度となる予定だったが、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、対面での聞き取り調査やアンケート調査の配布・回収作業が困難な状況となり、研究計画スケジュールの修正を行った。 今年度は2019年度に共同研究メンバーで作成した「福島近隣県自治体向けアンケート調査」の回答を、茨城県、栃木県でも回収(宮城県では2019年度に配布・回収)し、各県ごとの分析を行った。それら回答結果の概要を広く社会的に共有するために、2021年3月26日にオンラインにて、東日本大震災から10年公開シンポジウム「原発事故被害の広域性を考える―宮城・茨城・栃木・自治体アンケート調査結果報告会」を開催した。 本アンケート調査は、東電福島原発事故の影響が福島県境を超えて隣接県に及んでいるにもかかわらず、福島県以外の地域における被害実態や課題などが見えにくい状況におかれていることをふまえて実施したものである。このアンケート調査を通し、福島近隣県の市町村自治体が①原発事故影響をどのように捉えているのか、②どのような対応をせまられたのか、③現状の課題は何か、を浮き彫りにし、原発事故後の対応と課題を地域横断的に把握するための基礎データを得ることができた。 震災から10年というタイミングでのオンライン開催だったこともあり、研究者をはじめ一般市民の方など、該当3県のみならず遠方からの参加者も見られ、多くの関心が寄せられた。この調査結果の概要についての報告書を2021年度はじめに作成・発行する予定となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本調査研究は、福島近隣地域での市民の活動や自治体活動などについての実態調査を基本に実施してきているため、コロナウィルスの感染状況によって、対面での聞き取り調査や各地に足を運んで行う調査活動には相当な制約が生じた。また昨年度までは対面で行ってきた共同研究メンバー間の研究会や打ち合わせは、すべてオンラインでの開催に切り替えた。そのような理由から、当初予定していたスケジュールの見直しを行い、最終的な調査結果全体像のとりまとめと社会還元活動は、次年度に持ち越すことにした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、自治体アンケート調査を優先的に行い、各県ごとの集約を終えることができた。2021年度は、対面での市民グループ向け聞き取り調査の遅れを取り戻しつつ、これまでの調査結果の分析および学術的な研究成果発表、ならびに社会還元を行っていく予定である。 特に、各県ごとの調査結果の集約と分析に加えて、各自の研究テーマや専門領域に応じた3県相互の比較分析などを併せて行いながら、調査結果のとりまとめを行う予定である。 なお研究成果の社会還元に際しては、調査に協力いただいた市民や自治体職員をはじめ、被災地内外で震災後の課題に関心を持つ方々に広く発信を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大の影響により、対面での調査および共同研究メンバー間での研究会、また学会への参加などに伴う旅費の支出を執行することがほぼなかった。そのため残額を、次年度の追加調査費ならびに成果公開に伴う旅費や報告書発行に係る印刷諸費用などに充てる予定である。
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