2019 Fiscal Year Annual Research Report
Imperial Japan and Colonial Disasters-Focusing on the Taiwan Earthquake History during the Japanese Colonial Period-
Project/Area Number |
17K12633
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
荒川 章二 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 名誉教授 (30202732)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 植民地 / 震災 / 台湾 / 帝国日本 / 博物館展示 |
Outline of Annual Research Achievements |
報告者が属した国立歴史民俗博物館では、2014年、東日本大震災による被害に博物館はどう向き合うかとの関心から企画展示「歴史に見る震災」に取り組んだ。同時期、国立台湾歴史博物館でも、1999年9月21日大震災15年の節目に2014年企画展として「島嶼・地動・重生」を開催した。共通した問題意識は、歴博の台湾調査を契機に結ばれ、歴史上度々深刻な震災に見舞われている日台両国の歴史博物館の東アジア震災史共同研究がスタートした。 日本側は報告者を責任者に、台湾9・21震災研究の成果を紹介しつつ、戦前日本の植民地時代に起こった台湾の歴史的地震を掘り起こし展示する作業に取り掛かった。展示は2017年1~2月の歴博特集展示として実現し、日台を通じ1935年台湾大震災(死者3279人)を多角的に紹介した初の展示として、学会誌『同時代史研究』第10号(2017年12月)で展示批評が組まれた。 台湾歴博でも同年「地震帯状的共同体―歴史中的日台震災」を実施、本科研の一環として協力した報告者は図録に挨拶を寄せた。災害への歴史意識に関わる博物館の意義については台湾でも広く関心を呼び、同年7月、国立台湾芸術大学博物館研究所が主催し、日本側研究者も招聘したフォーラム(2日間)が開催され、報告者も講演を行った。 2018-19年度は、台湾及び国内の震災文書の補足収集を進めつつ『台湾日日新報』『朝日新聞外地版』『台湾協会会報』の資料検索や防災専門図書館、台湾協会などを調査し、台湾領有から敗戦まで十数回の震災の記事・文献を網羅的に収集した。関東大震災に対する台湾内報道や募金など帝国領域での位置も注視した。他方、本研究では戦時体制と戦後の災害対策の関係も視野に入れ、戦時動員に関わり戦後は災害対策基本法策定の中心となる石川凖吉の資料を歴博で受入れ、5700点の資料公開体制を完了した。総括論文が今後の課題である。
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Research Products
(1 results)