2017 Fiscal Year Research-status Report
量子対話型証明とハミルトニアンに基づく検証つきセキュアクラウド量子計算
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17K12637
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森前 智行 京都大学, 基礎物理学研究所, 講師 (50708302)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 量子計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ほぼ古典の能力のみからなる利用者がクラウド量子計算の正しさを確認できるか、という問題を検討した。利用者の能力としては、究極的には完全に古典の能力のみでできるようにしたいが、ひとまずは、1量子ビットの測定が可能であるとする。このような仮定は現在の技術的に、適切なものである。
本研究では、局所ハミルトニアンを用いた新しい、量子計算の事後的確認プロトコルの開発を行った。サーバーが送る結果を信頼する場合はそのままでよいが、後になって信頼性が揺らいだ場合に、サーバーから、量子計算の正しさを証明する量子状態を送ってもらうことができる。その状態は量子計算の各ステップをエンコードしたようなものになっており、対応する局所ハミルトニアンの基底状態になっているので、エネルギーを測定することにより計算の正しさを確認できる。エネルギーの測定には一般にはエンタングルメント操作が必要であるが、1量子ビットの測定のみでエネルギーを測定する方法を提案した。また、この方法は、従来のセキュアクラウド量子計算プロトコルに組み込むことにより、任意のセキュアプロトコルを自動的に検証可能なものにすることができる。さらに、最近、この結果は、Learning with errors問題が量子計算では解くことが難しいという仮定の下で、古典の検証者のみで量子サーバーの計算の正しさを確認する新しいプロトコルにおいて、ベースとなるプロトコルとしても用いられている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
いくつかの国際的な有名雑誌に結果を出版することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、現状の路線で進める予定である。特に、Learning with errors問題が量子計算では難しいことを仮定することにより作られるプロトコルは非常に有望なものであるので、それについて詳細な検討を進めたい。
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Causes of Carryover |
周辺機器、書籍等についての使用予定が多少変更になった。
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Research Products
(2 results)