2017 Fiscal Year Research-status Report
Computational Models in Cryptography for Encrypted Computation
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17K12640
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河内 亮周 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (00397035)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 難読化器 / 確率的論理回路 / 汎用標本器 / 階層型IDベース公開鍵暗号 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年にCanettiらは内部乱数を持つような論理回路を難読化する確率的論理回路難読化器が満たすべきいくつかの性質および安全性を定義し,その中で静的入力識別不可能性と呼ばれる安全性を満たす確率的論理回路難読化器の構成を穴開け可能疑似ランダム関数と準指数時間安全な決定性論理回路に対する識別不可能性難読化器から示していた.今年度の研究において彼らが定義していた最悪時入力識別不可能性という安全性について検討し,その亜種の安全性を満たすような確率的論理回路難読化器の構成を準指数時間安全な疑似ランダム関数と準指数時間安全な識別不可能性難読化器から示した. また難読化器から構成され,また難読化器に近い機能を持つ汎用標本器という暗号プリミティブがあり,様々な暗号プロトコルのセットアップアルゴリズムを実行する信頼された機関を統一化するために元々構成されていたが,高度な暗号プロトコル構成に有用であることも知られており,例えば2016年にHofheizらによって通常の公開鍵暗号と汎用標本器を組合わせることでIDベース公開鍵暗号が構成されていた.今年度の研究では,彼らの構成を一般化することで階層型IDベース公開鍵暗号を構成し,その安全性を示した.また,同様に汎用標本器から階層型IDベース公開鍵暗号を構成する方法として2017年のMaらの構成が知られていたが,彼らの構成方法および本研究における構成方法の効率解析し,効率を比較することで本研究における構成方法の効率が優れていることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画において,研究開始初年度では標準的な計算モデルの亜種について着目し,その亜種に関する考察から計算モデル内在暗号における計算モデル設計の指針を検討する予定であった.今年度の実際の研究においては確率的論理回路という標準的な論理回路の亜種における難読化器の研究に取り組み,標準的計算モデルの亜種における計算内在暗号化技術の構成方法およびその安全性解析についての知見を得ることができた.さらに,計算内在暗号化技術の一つである識別不可能性難読化器から構成される暗号プリミティブの汎用標本器の新たな応用技術として階層型IDベース公開鍵暗号の構成方法を与えることで計算モデル内在暗号の応用展開の方法について新たな知見を得ることができた.さらに既存研究における構成方法と本研究における構成方法の効率解析を行うことで,計算内在暗号化技術の応用技術の効率化についても新たな知見を得ることができた.以上のように,計画していた内容の研究を実施し,期待していた成果を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究を踏まえて,さらに計算内在暗号化技術とその基となる計算モデルについての研究を進める.計算内在暗号化技術に適した計算モデルの検討,種々の暗号プロトコルにおける計算内在暗号化技術の応用展開,またその構成の効率化を図るための技術および安全性の解析技術について検討する.特に次年度においては識別不可能性難読化器をはじめとする計算内在暗号化技術の最たる応用技術である秘匿計算プロトコルを計算内在暗号化技術および計算モデルの観点から検討・解析し,秘匿計算プロトコルにおいて効率的な計算を可能とする計算モデルの設計およびその性質の解明に取り組む.またその計算能力の高さの解析,効率化のための技術についての検討を行う.
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