2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K12641
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
東川 雄哉 中央大学, 理工学部, 助教 (20749486)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 動的フローネットワーク / 施設配置問題 / 最大後悔最小化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主な研究実績は以下の 3 件である. (1) パス状の動的フローネットワークにおける最大後悔最小化型の施設配置問題を考え,対するアルゴリズムを開発した.本研究では,目的関数である最大後悔を平均避難時間に基づき定義した.辺容量一定かつ単一施設配置の場合,任意の施設配置点に対する最悪シナリオの候補数が多項式上限を持つことを示し,この性質に基づいて多項式時間アルゴリズムを開発した. (2) パス状の動的フローネットワークにおける避難完了時間最小化型の施設配置問題を考え,対する高速アルゴリズムを開発した.本研究では,避難完了時間が一定以下となる施設配置の存在判定問題を劣線形時間で解くことができるデータ構造を開発し,パラメトリック探索などの最適化手法と組み合わせることで準線形時間アルゴリズムを与えた.また,辺容量一定の場合に対してはさらに高速なアルゴリズムを示しており,既存の結果 [Theoretical Computer Science, 2015] を改良している. (3) パス状の動的フローネットワークにおける平均避難時間最小化型の施設配置問題を考え,対するアルゴリズムを開発した.本研究では,部分パスにおける (片方の端点への避難に関する) 平均避難時間を効率的に計算できるデータ構造を開発し,動的計画法の枠組みと組み合わせることで,初の多項式時間アルゴリズムを与えた.また,辺容量一定の場合に対してはさらに高速なアルゴリズムを示しており,既存の結果 [Theoretical Computer Science, 2015] を改良している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に予定していた通り,避難完了時間最小化型および平均避難時間最小化型の施設配置問題に取り組んだ.一般のネットワークを対象とした研究はあまり進んでいないものの,関連する研究実績 (2),(3) については,それぞれ査読付き国際会議 WADS 2017,IWOCA 2018 に採択されており,一定の成果を得ている. また,当初は次年度に予定していた最大後悔最小化型の施設配置問題にも取り組み,関連する研究実績 (1) については査読付き国際論文誌 Theory of Computing Systems に採録されている.以上をまとめると,おおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,避難完了時間最小化型および平均避難時間最小化型の施設配置問題において,扱うネットワーククラスの拡張を図る.当初は,一般のネットワークを扱う予定であったが,避難完了時間最小化型施設配置問題の部分問題である「避難流問題」に対する Schloter 等による最新の結果 [SODA 2017] を考慮しても,実用的な高速アルゴリズムは望めないと考えられる.したがって今後は,格子グラフや平面グラフなど現実的なネットワークに向けて,ネットワーククラスの拡張を行う. また,当初に予定していた通り,最大後悔最小化型の施設配置問題に取り組み,上記と同様に扱うネットワーククラスの拡張を図る.
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Causes of Carryover |
本年度は国内の学会や研究会に参加せずに,海外での研究打合せにおける滞在日数を増やしたので,当初の予定額とずれが生じた.次年度予算と合算して,旅費として用いる予定である.
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Research Products
(6 results)