2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K12642
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
深作 亮也 東京理科大学, 理学部第一部応用数学科, 助教 (40778924)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 計算機代数 / 数式処理 / グレブナー基底 / 包括的グレブナー基底系 / 限量子消去法 / 効率化 / 飽和イデアル |
Outline of Annual Research Achievements |
等式制約と不等式制約に関するイデアルの飽和を利用した「包括的グレブナー基底系による限量子消去法の効率化」に関連して, 以下に関する研究を行なった: (a) 飽和計算の効率化. (b) 多変数根の連続性. これら成果に関する論文は各々, 論文誌 Mathematics in Computer Science や国際会議 International Symposium on Symbolic and Algebraic Computation (ISSAC) に採択された. 当該年度, 研究代表者はISSACが開催されたニューヨーク (USA) の CUNY Graduate Center, Courant Institute/NYU で研究 (a) に関する成果を発表することもできた. 現在の「包括的グレブナー基底系による限量子消去法の実装」ではイデアルの飽和を計算している. 従って, 研究 (a) に関する成果は実装の効率化に繋がった. 一方, 研究 (b) によって以下二点の利点を得ることもできた: (1) 分割されるパラメータ空間の個数を抑えられる. (2) パラメータ空間の論理式による表現が簡略化される. 利点 (1) によって計算処理回数が減り, 限量子消去法は効率化された. また, 利点 (2) によって再帰計算に関する計算処理の負担が軽減された. 包括的グレブナー基底系を利用した限量子消去法は再帰的に限量子を消去する. 特に, そうした再帰的処理の中ではグレブナー基底等が計算される. 等式制約と不等式制約が簡略な表現を持つ場合, それらに関するイデアルの飽和のグレブナー基底の計算に関する負担が軽減される. 従って, 利点 (2) も限量子消去法の効率化に繋がった. 当該年度はこうした効率化に取り組み, 上記利点が大きく活かされるような入力に関する解析を行なった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのところ「包括的グレブナー基底系を利用した限量子消去法」に関する理論的側面からの効率化は順調に進んでいると思われる. 特に, 当該年度は, イデアルの飽和の性質を利用した効率化に伴って「飽和の計算効率化」や「多変数根の連続性」に関する研究を行うことができた. 数式処理システムへの実装も前年度までと同様に続けている. 当該年度は上述したような成果たちを実装した. そして, その効率性を, ベンチマークデータを通して, 確認することもできている. 実際に前年度までの実装よりも高速に結果を出力している. また, 他の限量子消去法に関するプログラムよりも効率的に出力するようなベンチマークデータも多く確認できている. 一方, イデアルの根基に関するような効率化についても, 前年度に引き続き, 研究している. 興味深い成果も出始めており, 本研究課題はおおむね順調に進展しているものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
理論的側面からの効率化に関しては, イデアルの根基に関する効率化を深く研究していく予定である. 詳細を言えば, 前年度まででパラメータを含まないような場合に関する研究は大方完了しているので, パラメータを含むような場合に対する拡張を行う予定である. 一方, 現状のところ, 実装的側面からの効率化には取り組めていない. 例えば, 並列計算等を用いた実装的側面からの効率化に取り組みたいと考えている. 本研究課題では理論的に並列化可能な計算処理が存在する, こうした計算処理を実際に並列化させるような実装を構築したいと考えている. 特に, この取り組みでは, 一台の計算機だけでなく, 複数の計算機を用いるような実装を行い, より多くのコアを利用した実験を行う予定である. そして, この実験を通して, その並列効果を確認したいと考えている.
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Causes of Carryover |
当該年度, 東京理科大学の支出によって在外研究に従事した. 本在外研究ではカナダ, オンタリオ州ウォータールー市のウォータールー大学に半年間滞在した. 本期間中にはニューヨーク (USA) で開催された国際会議に出席した. 当初より, この国際会議には参加予定であったが, トロント空港を利用したため, 日本からの航空券費用よりも安く手配できた. また, 本在外研究に伴い, 国内の研究集会もいくつか取りやめたため, 次年度使用額が生じた. 本研究課題に関する共同研究者の多くは東京を拠点としている. 研究代表者の所属が東京理科大学から九州大学に変わったこともあり, 次年度は国内出張が当初の予定よりも増えると思われる. 従って, 次年度使用額をそうした出張費に充てたいと考えている.
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Research Products
(4 results)