2017 Fiscal Year Research-status Report
Dynamic Optimization for Solving Large-Scale Markov Games and Social System Design
Project/Area Number |
17K12644
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
吉良 知文 群馬大学, 社会情報学部, 准教授 (50635860)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 動的計画法 / 保育所マッチング / 展開形ゲーム / セキュリティゲーム / 数理最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大規模なマルコフゲームの均衡点を計算する動的最適化技術を構築し、様々なステークホルダーが含まれる社会的課題に対して、公平で納得度の高い制度や施策を設計する方法論としてのマルコフゲームアプローチを確立することである。平成29年度の主な成果は以下の3点である。 (A)保育所の利用調整(選考)では、保育の必要性に基づく子どもの優先順位だけでなく、きょうだいの同一保育所への入所希望も考慮する(Matching with Couples)。展開形(マルコフ)ゲームとしてモデル化して解くことで、公平な選考結果を導出することができるが、現実規模の問題を解くには様々な課題が残されている。神山直之氏(九州大学)との共同研究により、岩下洋哲氏(富士通研究所)の実装のベースとなっているバックトラック探索について検証を行い、展開形ゲームの部分ゲーム完全均衡点上のプレイを正しく出力することの証明をおこなった。 (B)研究代表者らの既存成果である野球をモデル化した約645万状態のマルコフゲームでは、引き分けがある非ゼロ和ゲームであるため、両チームの均衡勝率の一意性が保証されず、戦略や選手の評価が困難になるという不備があることが分かった。そこで、真に導出すべき均衡点の精緻化をおこない、均衡勝率の一意性を保証した。また、このモデルに基づいて野球のルールの公平性について分析をおこなった。 (C)都市や施設の動的警備計画の定式化に関する研究代表者らのこれまでの共同研究の成果を論文にまとめ、国際会議に投稿した。また、日本オペレーションズ・リサーチ学会等で成果発表をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初より予定していた、人が集まる場所の混雑緩和や動線の改善に関する研究については進捗がやや遅れているものの、保育所マッチングなど重要なテーマについて期待以上の成果が得られた。また、都市や施設の動的警備計画に関する研究については、論文執筆や学会発表を通じて、本研究の長所や既存研究との差異などの認識を深めることができた。以上のことから、研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
社会的課題に対して、真に実利あるソリューションを生み出す方法論としてのマルコフゲームアプローチを確立するために、当初の計画どおり研究実施期間を通じて、社会の現場と協働して以下の(1)~(4)のプロセスを一貫して実施する。 (1)社会的課題の問題状況とステークホルダーの意思決定をマルコフゲームとして定式化する。 (2)定式化したマルコフゲームを効率良く解くアルゴリズムを構築し実装する。 (3)マルコフゲームの解を元に、公平で納得感のある制度や施策を設計する。 (4)制度や施策をフィールド実装し効果を検証する。必要があれば (1) へフィードバッグをおこなう。
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Causes of Carryover |
(理由)主たる所属期間の変更に伴い、所属機関から研究費の一部支援が得られたため、経費を削減できた。また、前所属機関から以前より使用していたPCの無償譲渡が受けられたため、PCの購入を次年度に繰り越した。 (使用計画)延期していたPCの購入をおこなう。また、国際会議で研究成果発表するための旅費に充当する。
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Research Products
(13 results)