2019 Fiscal Year Research-status Report
Dynamic Optimization for Solving Large-Scale Markov Games and Social System Design
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17K12644
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
吉良 知文 群馬大学, 社会情報学部, 准教授 (50635860)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 動的計画法 / 保育所マッチング / セキュリティゲーム / 物流システム / 展開形ゲーム / 最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大規模なマルコフゲームの均衡点を計算する動的最適化技術を構築し、様々なステークホルダーが含まれる社会的課題に対して、公平で納得度の高い制度や施策を設計する方法論としてのマルコフゲームアプローチを確立することである。令和元年度の主な成果は以下の3点である。 (A)保育所の利用調整では、保育の必要性に基づく子どもの優先順位だけでなく、きょうだいの同一保育所への入所希望も考慮する(Matching with Couples)。公平な選考結果を展開形(マルコフ)ゲームの理論を用いて導出するアプローチ(共同研究の既存成果)が自治体で活用されている。今年度は神山直之氏(九州大学)と岩下洋哲氏(富士通研究所)との共同研究において、保育所の利用調整がモデル化された展開形ゲームを高速に解くためのバックトラック探索と枝刈りついてアルゴリズムを整理し、正当性の証明をおこなった。 (B)昨年度に引き続き、群馬大学の教養教育において、1年生1123人のそれぞれを50科目の講義のいずれかに割り当てる抽選作業(マッチング)をおこなった。杉山学氏・永野清仁氏(群馬大学)と共同研究を行ない、実データに対して既存の様々なマッチング方式を試す過程で、辞書式ネットワークフローを用いるアプローチの有効性を示すなど、新たな知見を得た。 (C)日本パレットレンタル株式会社と共同研究をおこなった。物流業界では人手不足が顕在化しつつあり、個別最適化から全体最適化へ、競争から共創へのシフトが強く求められている。今年度は、連携・協働するメリットが高い企業同士を高速に抽出するアルゴリズムの開発に成功した。今後も、ゲーム理論の枠組みと大規模な実問題を解く計算技術で、物流業界の全体最適化に貢献していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度も限られた時間の中で、社会に貢献する成果を出すことができた。また、社会実装の実現力を持った企業や自治体との連携をさらに深めることができた。物流業界との取り組みはNEDO助成事業にも採択された。これらは本研究課題の遂行のための基盤となるものである。以上のことから、研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
社会的課題に対して、真に実利あるソリューションを生み出す方法論としてのマルコフゲームアプローチを確立するために、当初の計画どおり研究実施期間を通 じて、社会の現場と協働して以下の(1)~(4)のプロセスを一貫して実施する。 (1)社会的課題の問題状況とステークホルダーの意思決定をマルコフゲームとして定式化する。 (2)定式化したマルコフゲームを効率良く解くアルゴリズムを構築し実装する。 (3)マルコフゲームの解を元に、公平で納得感のある制度や施策を設計する。 (4)制度や施策をフィールド実装し効果を検証する。必要があれば (1) へフィードバッグをおこなう
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Causes of Carryover |
今年度も企業からの支援が得られた。また、研究分野の理論を大学業務に活用したことで、学内予算の追加配分も得られた。一方で、新型コロナウイルスの影響により、2月および3月の学会が中止になるなどしたため、出張を取りやめたことにより残額が生じた。 (使用計画)国際会議で研究成果発表するための旅費に充当する。
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Research Products
(9 results)