2017 Fiscal Year Research-status Report
粗粒度再構成可能アーキテクチャを用いた無線メディア処理システムに関する研究
Project/Area Number |
17K12656
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
今川 隆司 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (90771395)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 再構成可能アーキテクチャ / 無線通信 / MIMO-OFDM / 逆行列演算 / 動画像伝送 / フレーム補間 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず本研究の基盤となる再構成可能アーキテクチャおよび関連する設計自動化技術における最新の技術動向を調査するため,関連するトップ国際会議および国内会議に聴講参加した. そして,MIMO-OFDM 無線通信の復調側における信号分離の中での処理の大部分を占める逆行列演算の,ハードウェア実装による高速化を目指して設計空間の探索を行った.具体的には,計算精度を保障するための浮動小数点演算を基本として,ガウスジョルダン法やストラッセンのアルゴリズムを対象として,アルゴリズムの簡単化やパイプライン実装を検討し,実装に必要となるハードウェア量や,スループットを比較した.その結果,浮動小数点演算器を用いた場合でも,ストラッセンのアルゴリズムを基本としたパイプライン実装により,面積効率良く高速化できることを明らかにした.上記結果は,国内会議および国際会議にて発表した. また既存の低データレートな動画像無線伝送手法の高品位化に取り組んだ.本手法においては,センサ側で取得したフレームに対して,一部の画素を間引くことでサイズを縮小して伝送する.受信側では各縮小フレームに該当する時刻の,元々のサイズのフレームを生成する,補間フレーム生成処理を行う.まず,当該時刻に隣接する,画素間引きをせずに送られたキーフレームを,当該時刻に合うようにホモグラフィ変換する.そして,当該時刻の縮小フレームを拡大したものとの差分をとることで前景と背景を分離し,背景部分には変形フレームの,前景部分には拡大フレームの画素を用いる.従来の手法では3枚の変形および拡大フレームの重ね合わせにより補間フレームを生成していた.これに対し,キーフレームに挟まれた縮小フレームの全てを,当該時刻に向けて変形し重ね合わせることで,背景と前景の分離精度が高まり,生成される補間フレームの品質が向上することを示した.上記成果は国内研究会にて発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,当初予定していた再構成可能デバイスのアーキテクチャそのものに関しての検討に十分に取り組むことができず,対外発表ができるまでの成果を得ることができなかった.一方でアプリケーションである無線変復調や動画像伝送に関しては,対外発表に至るまでの成果を得られたことから,本研究課題全体の進捗としては順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度検討した逆行列演算ハードウェアに対して,構成可能アーキテクチャ上に実装することを前提としてデータフローグラフの解析を行う.また高速フーリエ変換やビタビアルゴリズムによる誤り訂正処理のような無線変復調に関連する処理や,画像の縮小・拡大といった動画像伝送に関連する処理に関しても,同様にハードウェア実装を検討して,データフローグラフの解析を行う. これらの解析結果から,アプリケーション回路ごとの共通点・相違点を明らかにする.その結果に基づき以下の通り CGRA のアーキテクチャ検討を行う.まずは汎用性を重視して,対象とするアプリケーション回路を容易に配置配線できるように,十分な演算資源および配線資源を備えたものを設計する.その後,配置配線の結果等に基づき,対象とするアプリケーションを実装するのに必要十分なアーキテクチャを明らかにする.そして,CGRAの演算資源や配線資源のパラメタの範囲として有意なものを明らかにし,CGRA全体のアーキテクチャを決定する. 上記に加え,今年度検討を進めたフレーム補間手法に関しても,更なる高品位化を目指して,深層学習に基づく手法等との比較や,それらの部分的な導入等を検討する.
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Causes of Carryover |
本研究課題が関連するトップ国際会議への聴講参加に際して,想定よりも旅費を低価格に抑えることができたために次年度使用額が生じた.一方で,回路シミュレーションや回路設計に用いる計算サーバ等に不足が見込まれるため,次年度でのこれらの増強に使用する予定である.
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Research Products
(3 results)