2017 Fiscal Year Research-status Report
統計手法と形式手法の融合によるサイバーフィジカルシステムの定量的検証
Project/Area Number |
17K12667
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
川本 裕輔 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究員 (60760006)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 情報セキュリティ / プライバシ / プログラム検証 / 形式手法 / 情報理論 / 定量的情報流解析 / ゲーム理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、サイバーフィジカルシステムにおけるプライバシについての量的性質の検証・解析技術、およびその基礎となる理論について、以下の研究に取り組んだ。 (1) 複数の確率システムから合成されたシステムの情報漏洩量の性質を定量的情報流解析の枠組みで明らかにし、査読付雑誌論文で発表した。 (2) 与えられたプログラムからの情報漏洩量を推定するツールHyLeakを完成させて公開した。このツールでは、与えられたソースコードを解析し、指定した秘密変数から観測変数への情報漏洩量(相互情報量)を計算する。その際に、プログラム解析と統計手法の長所を組み合わせることで、計算をより高速化している。このHyLeakに関するツール論文を査読付国際会議で発表した。 (3) 適応的に振る舞う攻撃者と防御者のもとでのプライバシ情報の漏洩量を分析するためのモデルを提案した。具体的には、定量的情報流解析とゲーム理論を融合させた枠組み(information leakage game)を提案した。この情報漏洩ゲームでは、通常のゲーム理論と異なり、混合戦略の利得が純粋戦略の利得の期待値と異なることを明らかにし、ナッッシュ均衡点の存在を証明し、その計算アルゴリズムを与えた。研究成果をまとめた査読付国際会議論文を発表した。 (4) (3)で提案したモデルを発展させ、攻撃者が知ることのできる防御戦略についての情報の種類に応じて、情報漏洩の状況を様々なゲームで定式化した。また、これらのゲームの間の関係を明らかにした。さらに、情報漏洩ゲームでは、通常のゲーム理論と異なり、混合戦略と行動戦略が等価でないことも明らかにした。研究成果をまとめた査読付国際会議論文が採択され、2018年度に発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サイバーフィジカルシステムにおけるプライバシの量的性質の検証・解析技術に関して、要素技術の理論的成果が得られ、ツール開発を行うことができた。特に、プライバシの量的性質に関して、サイバーフィジカルシステムの適応的な振る舞いも扱えるモデルを提案できた。統計手法との融合手法に関しては本年度には実施できなかったものの、着実に準備を進めている。研究成果について複数の論文も発表しており、おおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、定量的情報流解析とゲーム理論の融合手法により、攻撃者と防御者の適応的戦略とそれについての知識の度合いを考慮したプライバシのモデルについての研究を続ける。また、サイバーフィジカルシステムの具体例として、位置情報プライバシの量的性質の解析手法についての研究を行う。さらに、統計手法とプログラム解析の融合手法を用いた、タイミング攻撃の解析・対策技術についても研究を行う。
|
Research Products
(13 results)
-
-
-
-
-
[Journal Article] HyLeak: Hybrid Analysis Tool for Information Leakage2017
Author(s)
Fabrizio Biondi, Yusuke Kawamoto, Axel Legay, and Louis-Marie Traonouez
-
Journal Title
Proc. of the 15th International Symposium on Automated Technology for Verification and Analysis (ATVA 2017), Lecture Notes in Computer Science
Volume: 10482
Pages: 156-163
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
[Journal Article] Information Leakage Games2017
Author(s)
Mario S. Alvim, Konstantinos Chatzikokolakis, Yusuke Kawamoto, and Catuscia Palamidessi
-
Journal Title
Proc. of the 8th International Conference on Decision and Game Theory for Security (GameSec 2017), Lecture Notes in Computer Science
Volume: 10575
Pages: 437-457
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Information Leakage Games2017
Author(s)
Mario S. Alvim, Konstantinos Chatzikokolakis, Yusuke Kawamoto, and Catuscia Palamidessi
Organizer
8th International Conference on Decision and Game Theory for Security (GameSec 2017)
Int'l Joint Research
-