2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of high resolution electrovibration tactile display for real surface texture
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17K12727
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
石塚 裕己 香川大学, 創造工学部, 助教 (40784418)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 触覚ディスプレイ / ハプティクス / 静電刺激 / 電極アレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は最終年度として,静電触覚ディスプレイの高解像度化に関する限界を評価した.電極の幅を昨年度は1 mmのものを密に配置して,電極アレイを作製していたが,今年度はどの程度まで細い電極によって静電刺激が可能であるかを評価した.微細加工技術によって電極幅が10 um,20 um,50 um,100 um,200 um,500 umのクロム製の電極を基板に形成して,その上に絶縁材料のSiO2の膜を形成した.その後,被験者による評価実験を行い,どの程度の細さの電極で静電刺激が可能かを評価した.実験結果としては100 umが電圧の印加に耐えうる静電刺激が可能な最小の電極幅であることが確認できた.それ以下の電極でも静電刺激を行うことは可能であったが,実験中に電極が破損し,実験を完遂することはできなかった.これは,静電刺激を行う際に,微小な電流が電極に流れるため,電極の抵抗値によって電流が熱となり,その結果電極が破損したことによると考えられる.もしも,100 umよりも細い幅の電極で静電刺激を行いたい場合には,電極の厚みや材質を検討して電圧印加によって生じる電流による電極の発熱の影響を少なくするような設計を行うことが必要になると考えられる.本研究により得られた成果は国際会議のEurohaptics 2018で展示形式の発表を行い,その後投稿論文として採択された.また,本研究で得られた静電触覚ディスプレイに関する知見は他の研究にも活用できており,それらの研究に関する研究成果も今後国際会議や投稿論文の形式で発表を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的としては静電触覚ディスプレイの高密度化とその触感レンダリングのための手法の開発であった.前者の触覚ディスプレイの高密度化に関しては,電極幅1 mmの電極を密に配置することによって.従来は単一の電極で行われてきた静電刺激を多電極で局所的に提示することを可能にすることができた.また,実験によって単一の静電刺激と局所的に異なる静電刺激とを提示した場合には,異なる触感に感じることを被験者を用いた官能試験によって明らかにすることができた.これによって多電極を用いた静電触覚ディスプレイによって,提示される触感の幅を広げることを示せたと言える.また,静電刺激が可能な電極幅を評価することによって,静電刺激が可能な最小の電極幅を明らかにすることもできた.この電極幅に関する検討によって得られた結果に基づいて,今後は更に高密度な静電触覚ディスプレイを作製することを検討している.触感レンダリングのための有限要素法解析を用いた指モデルの作成に関しては,指モデルの作成は行えたものの触感をレンダリングする際に必要な静電触覚ディスレイの有限要素法解析上への実装が困難であったったことから十分には進めることができなかった.しかし,本指モデルは触知覚のメカニズム解明のための解析モデルとして使用できることは確認できており,今後はその用途での活用を進めていく.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の進め方としては,静電刺激が可能な最小の電極幅で電極を形成し,それを密に配置した静電触覚ディスプレイを作製することをまず検討している.そして,その静電触覚ディスプレイによって,どの程度の細かい領域で静電刺激が提示できているかを評価する.その静電触覚ディスプレイを用いて,触感再現を行うための方法を検討する.今年度までに有限要素法解析を用いて静電触覚ディスプレイのためのシミュレータを作製することが現状のソフトウェア環境では困難であることは明らかにできている.そこで,今後はBioTacのような市販の触覚センサを使って,触感情報を記録して,それを静電触覚ディスプレイの駆動電圧に変換するような方法を検討する.例えば,機械学習によって触覚センサによって得られた情報を電圧に変換できるようなシステムを構築する.そして,これによって再現された感覚がどの程度実際の触感と近いかを官能評価によって確認する実験も行う.
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Causes of Carryover |
機材調整に時間がかかり,計画していた官能試験が計画通り行えなかった.そのための謝金や備品のために一部費用を繰り越すこととした.
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Research Products
(3 results)