2017 Fiscal Year Research-status Report
健常者をセンサノードとして用いた移動弱者向けバリアフリー度算出手法の研究開発
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17K12730
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
宮田 章裕 日本大学, 文理学部, 准教授 (20648802)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バリアフリー / ディープラーニング / 加速度 / 健常者 / 障害者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,(1)調査・観察に基づいて検出すべきバリア種類を選定し,(2)屋内環境を中心に健常者歩行時の加速度データを収集し,(3)ディープラーニングとサポートベクターマシンを併用して加速度データから一定精度でバリア検出する基礎アルゴリズムを構築した。 (1)については,文献調査・インタビュー調査により,移動弱者(車椅子利用者や視覚障害者など)は屋内外のバリアによって移動を妨げられていること,既存のバリアフリーマップは情報の網羅性に乏しく移動の支援の用途としては不十分であることが分かった。また,実フィールドの観察により,これらの調査結果が妥当であることを確認した。これらの調査・観察に基づき,検出すべきバリア種類を段差,階段,緩い傾斜,急な傾斜とした。 (2)については,(1)で選定した各バリアについて,健常歩行者10~20名程度に実際に歩行を行ってもらい,その際に生じる加速度データを収集した。また,ディープラーニングを行う際には数十時間分以上の大量の加速度データが必要であるため,専用アプリケーションを実装し,屋内外を自由に歩行している際の加速度データも収集した。 (3)については,ディープラーニングとサポートベクターマシンを併用した機械学習を行うことで,比較的少ない量の加速度データからバリアの存在・種別を推定するアルゴリズムを考案した。このアルゴリズムに基くプロトタイプシステムを構築し,検証実験を行ったところ,(1)で選定した各バリアを一定精度で検出可能であることを明らかにした。 上記以外にも,次年度以降を見据え,提案手法によるバリアフリーマップを利用するための視覚障害者向け入力インタフェースなどの試作も行った。 これらの成果の論文投稿・学会発表を行い,情報処理学会特選論文の受賞,査読付き国際会議採録等に至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始前に十分な文献調査,検討を行っていたため,当初の想定から大きく異なる事象は発生せず,概ね順調に研究を推進できている。計測アプリケーションの開発状況などにより,歩行時加速度データ収集が計画通り進まないこともあったが,収集方法の工夫などにより計画の遅延を挽回した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに本研究に係る調査,観察,データ収集,プロトタイプシステム構築,検証は順調に進んでいるため,次年度も本年度と同じ方針・体制で研究を行う。次年度は屋外環境のバリアフリー度について検討を深める予定である。屋外環境は屋内環境と比べて多様なバリアが想定される上,計測機材・アプリケーションの不具合も生じやすいため,これを考慮して計画的に研究を推進することとする。
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Causes of Carryover |
当初購入予定であった電動車椅子の廉価製品が発売されたため,本年度は使用額が予定を下回った。一方,検証を進める過程で,データ収集・アルゴリズム検証のためのコンピュータ機器が想定より多く必要であることが判明したため,次年度はこれらの機器を必要数購入する予定である。
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Research Products
(8 results)