2020 Fiscal Year Research-status Report
相転移描像による圧縮センシングの限界解明とその打破
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17K12749
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中西 義典 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (00767296)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 圧縮センシング / スパースモデリング / 交差検証 / ハイパーパラメータ / LASSO / 統計力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間の四年度目である2020年度は圧縮センシングの限界打破に向けた発展的な研究を行った。具体的には、計測ノイズを無視できないようなデータにLeast Absolute Shrinkage and Selection Operator (LASSO)と呼ばれるアルゴリズムを用いて真の信号を推定する場合の圧縮センシングについて研究を進めた。各信号成分の絶対値の和(L1ノルム)を正則化項にもつ最小二乗法を解くことにより信号を推定するアルゴリズムであるLASSOは、多項式時間で変数選択を行えることからノイズ有り圧縮センシングやスパースモデリングによるデータ解析にしばしば用いられる。 2019年度に、統計数理手法である交差検証を用いて、正則化項の係数であるハイパーパラメータを簡便に定める手法を提案した。交差検証とは、現有データを全て推定に用いるのではなく、現有データを訓練データと検証データとに分け、訓練データのみを用いて信号を推定した結果により検証データをどれだけ正しく説明できるかを評価することによりLASSO等の手法の良し悪しを定量化する手法である。2020年度では、追加のシミュレーションを行うことにより、投稿論文が英文査読有り論文誌に掲載された。 また、交差検証の訓練/検証データ比依存性に着目して、ノイズ有り圧縮センシングの限界を定量化するための手法を提案している。提案手法では、ノイズ有り圧縮センシングに対してLASSOを適用したときの推定誤差や交差検証誤差に関する状態方程式を、統計力学の手法を用いて導出する。導出した状態方程式により実際にデータから計算した交差検証誤差に対してフィッティングすることにより、推定誤差を定量化する。研究成果を原著論文としてまとめるために、提案手法の有効性を検証するためシミュレーションを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度に派生的に得られた研究成果について査読有り英文学術雑誌に掲載されたが、新型コロナウイルス感染症への対応もあり、当初予定していた交差検証の訓練データ/検証データ比依存性に着目する研究の進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ノイズ有り圧縮センシングの限界を定量化する手法について、有効性を検証するためのシミュレーションを行い、論文投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症等の影響により参加を予定していた学会・研究会等が現地開催中止となったため次年度使用額が生じた。論文投稿に向けて学会・研究会参加費や英文校閲費として使用する計画である。
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Research Products
(4 results)