2018 Fiscal Year Research-status Report
多目的進化計算の最適なアルゴリズムマップ構築と未知問題への展開
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17K12750
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
佐藤 寛之 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (60550978)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 進化計算 / 多目的最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,既存の最適化問題に関する知識を組織化し,それをもとに,未知の最適化問題に適したアルゴリズムを推薦する方法の構築である.本研究を開始した平成29年度,計画した「研究項目1:問題の各特徴領域に最適なアルゴリズムの探索」と「研究項目2:最適なアルゴリズムマップ構築」を遂行した.その結果,多数の多目的最適化問題群を最適化性能を高める進化計算パラメータの差異によって問題群をマップ上に視覚化する方法を構築した.平成30年度は,計画した「研究項目3:未知の問題に対する最適なアルゴリズム推薦」を遂行した.具体的には,平成29年度に構築した既存の最適化問題群マップ上における未知の最適化問題の位置を推定する方法を構築した.具体的な方法としては,既存の最適化問題群マップにおける問題の位置関係を維持可能な最低限の進化計算パラメータ群を取り出し,取り出した進化計算パラメータ群を用いた最適化を未知の問題に対して実行し,未知の問題の位置を推定する.提案法の効果を検証するため,多目的最適化問題のベンチマーク問題群を利用し,既知の特徴を有する多目的最適化問題を未知問題と見なし,位置を推定した.その結果,最適化問題群マップにおける未知問題の位置を近似することに成功した.この結果の意義としては,これまでの既存の最適化問題群に対して,新たに取り組む最適化問題との関係性を視覚的に表すことが可能になるため,新しい最適化問題に利用する適した進化計算パラメータを選択しやすくなり,アルゴリズムの選別の合理性と得られる解の最適性が増すことがあげられる.また,この結果の重要性としては,進化計算パラメータの選別が高速・合理化されるため,特に解の評価に時間を要する産業界などの最適化問題において進化計算を利用しやすくなることがあげられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度に計画した「研究項目3:未知の問題に対する最適なアルゴリズム推薦」の方法構築と実験に予定より時間を要したため,同年度に計画した実応用問題における検証まで済んでいない.研究項目3に時間を要した理由としては,当初計画した方法より高精度に未知問題の問題群マップ上における位置を推定する方法を考案し,実験したことがあげられる.しかし,新たな推定法により,当初計画より高精度な推定法を構築することができた.未知の最適化問題が,既知の最適化問題群と乖離した問題特徴を有する場合,低精度の推定法では,正確に位置推定できない恐れがあるため,この実施計画の変更は必要だったと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
1年間,研究期間を延長し,計画した残りの研究事項を遂行する.研究期間の延長については,すでに承認を得ている.若手研究(B)における独立基盤形成支援によって,実験に使用する計算機資源が増加したため,これを活用し,精度の高い未知問題の推定を行う.
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Causes of Carryover |
本研究課題に対して計画した内容について,有効と考えられる方法が構築されているが,提案する方法の効果をより精緻に明らかにするためには,追加の計算機実験が必要であり,さらにその研究成果を論文としてまとめるためには計画した平成30年度中に終えることが困難だったため.また,計画した残りの研究事項を遂行するために研究期間の延長申請をし,認められた.次年度使用額については,研究成果を発表・発信するための費用として利用する.
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