2017 Fiscal Year Research-status Report
人の学習能力を利用したイン・ハンド・マニピュレーションのためのモデルレス操り戦略
Project/Area Number |
17K12765
|
Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
山脇 輔 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 講師 (20546171)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | マニピュレーション / ロボットハンド / 不確かさ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,指の自由度を利用して手の中で物体を操るイン・ハンド・マニピュレーションを工学的に実現することである.イン・ハンド・マニピュレーションをロボットハンドで実現した例は少ない.その理由の一つとして,モデルベースな制御法が用いられてきたためにモデル化誤差やモデル化が困難な摩擦力等の不確かさに対して脆弱であったことが挙げられる.そこで本研究ではイン・ハンド・マニピュレーションをモデルを必要とせずに実現する操り戦略を新たに提案し,その性能について実験的に評価・検討していく.
特に本年度は,不確かさに対してロバストとなるよう学習則を改良した.予め設定した評価関数が最小となるよう勾配降下法により制御トルクを更新する繰り返し学習則を採用した.ロボットハンドのような対象物との接触を含む複雑なシステムに対して評価関数の勾配を解析的に求めることは一般的に困難であるため,数値解により勾配を推定する必要がある.しかし,推定した勾配には不確かさに起因するノイズが含まれるため,一般的な勾配降下法である最急降下法を用いた学習則はノイズに対して脆弱であった.そこで,本研究では,学習ゲインを適応的に自動調整する新たな学習則を提案し,ノイズに対するロバスト性が向上することを実験的に確認した. 2本指からなるロボットハンドを用いて2次元平面内で多角形対象を目標軌道に追従するようイン・ハンド・マニピュレーションを行う.評価関数は目標軌道に対する偏差の大きさとし,それを最小化する制御トルクを求めることが学習の目的である.実験の結果,最急降下法と比較して,提案手法は少ない試行回数で偏差をより小さくできることが分かった.このことから学習性能の向上が実験的に示された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,学術的新規性が期待できた学習アルゴリズムの改良を行ったため,予定していた人の操作トルク計測装置の実装を行うことができなかった.
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は,学習アルゴリズムの改良を引き続き実施するとともに,人の操作トルク計測装置の実装を行っていく.
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,1)交付額の減額による購入器材の変更,2)資料収集を目的とした国際会議への参加中止の2点である.次年度では,器材変更に伴って新たに必要となった実験器材を購入する.また,情報収集を強化するため,積極的に学会へ参加する.
|