2017 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム環境ワイド関連解析GE-WASによる遺伝子環境相互作用の同定
Project/Area Number |
17K12772
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永家 聖 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (00726466)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生命情報 / 医療情報 / コホート |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の平成29年度は、多因子疾患の一つである糖尿病における疾患関連遺伝因子と疾患関連環境因子の複雑な相互作用であるゲノム環境ワイド関連解析GE-WAS (Gene-Environment-Wide-Association-Study)について、解析プログラムの開発や方法論の検討を行った。 東北メディカル・メガバンク機構が実施しているコホート調査により収集されたデータを用いて、フェノタイプ、疾患関連遺伝因子、疾患関連環境因子についての分割表を作成し、Cochran-Mantel-Haenszelカイニ乗検定により糖尿病の罹患とのゲノム環境ワイド関連解析GE-WASを実施し、遺伝因子と環境因子の複雑な相互作用を抽出するための解析プログラムを開発した。GE-WASにより得られたP値について、ヒートマップや遺伝因子と環境因子の相互作用状態を三次元で表すGxEランドスケーププロットを描画する解析プログラムを開発した。 フェノタイプとしてアンケート調査における糖尿病の罹患歴の回答状況、疾患関連遺伝因子として全ゲノムデータやSNPアレイデータ、疾患関連環境因子として生理学・生化学検査データ、眼科検査、口腔内検査、骨密度検査、呼吸機能検査、タブレットを用いたメンタルヘルス調査等さまざまなデータを用いた。 また、得られた疾患関連遺伝因子と疾患関連環境因子の組み合わせ(G×E)は膨大となるため、高次元変数選択法により次元を圧縮し、フェノタイプである糖尿病罹患に大きく寄与する疾患関連遺伝因子と疾患関連環境因子の相互作用を抽出し、寄与度が少ない組み合わせを平滑化する方法論の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゲノム環境ワイド関連解析GE-WASを実施するため、1. フェノタイプとしてアンケート調査における糖尿病の罹患歴の回答状況、2. 疾患関連遺伝因子として全ゲノムデータやSNPアレイデータ、3. 疾患関連環境因子として生理学・生化学検査データ等さまざまなデータを用いて、Cochran-Mantel-Haenszelカイニ乗検定により3種類の組み合わせを得た。GE-WASにより得られたP値をもとに、ヒートマップや三次元GxEランドスケーププロットを描画する解析プログラムを開発するなど、おおむね順調に進展している。 また、得られた疾患関連遺伝因子と疾患関連環境因子の組み合わせは膨大となるため、高次元変数選択法により次元を圧縮し、フェノタイプである糖尿病罹患に大きく寄与する疾患関連遺伝因子と疾患関連環境因子の相互作用を抽出し、寄与度が少ない組み合わせを平滑化する方法論の検討を行うなど、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究の検討を実施し、GxEランドスケーププロットを描画方法の向上を図る。また、時系列データを用いてGxEランドスケーププロットを描写し、疾患の変遷状態を確認できるようにする。例えば疾患発症前、疾患発症後のGxEランドスケーププロットを比較し、そのGxEランドスケープの形状が変化する点について着目する。またGxEランドスケープの形状変化については、その変化点を目視ではなく計算機にて判断できるように、人工知能、深層学習、機械学習の分野で利用されている手法を応用できないか検討する。
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Causes of Carryover |
初年度の平成29年度は、本研究課題の基礎となる、糖尿病における疾患関連遺伝因子と疾患関連環境因子の複雑な相互作用であるゲノム環境ワイド関連解析GE-WASについて、解析プログラムの開発や方法論の検討を行った。また、得られた疾患関連遺伝因子と疾患関連環境因子の組み合わせは膨大となるため、高次元変数選択法により次元を圧縮し、糖尿病罹患への寄与度が少ない組み合わせを平滑化する方法論の検討を行った。プログラム開発においては、小規模なデータで行ったため、計算機サーバ等の新規の購入は不要であった。 そのため平成30年度は、本来平成29年度の購入予定だった計算機サーバ等の購入と当該研究に関する学会へ参加する予定である。
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