2017 Fiscal Year Research-status Report
力学的にチューニング可能なDNAネットワーク集積体の創製
Project/Area Number |
17K12774
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
石川 大輔 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 特任助教 (00722919)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | DNAナノテクノロジー / 界面膜 / メカノケミストリー / 力学的チューニング / 油中水滴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,手で押す,引っ張るなどの日常的なマクロな動作によって,ナノサイズの構造体の形状と機能を精密に操作できる技術を創出することである.具体的には,DNAの有するプログラマビリティを駆使することで,複数の機能(ソフトウェア)付与が容易かつ選択的に可能なDNA二次元ネットワーク集積体(ハードウェア)を作製し,さらにその出力を力学的に調整可能な力学的チューニング材料を新規創製することを目指す.本研究によって,力学的に形状変形可能な材料に対して,様々な機能をDNAのハイブリダイゼーション(二重らせん構造の形成)を利用して選択的に「インストール」するという新規技術だけではなく,外部から受ける微小な力に応答する環境応答材料作製技術も提示できる. 本年度の研究では,DNAオリガミ技術により作製した環状DNAナノユニットを両親媒化し,これを疎水相(油相)と親水相(水)の界面に集積させることに成功した.DNAナノユニットの両親媒化は,DNAナノユニットの一部分のみへ剛直な疎水基であるコレステロールをハイブリダイゼーションにより結合することで行った.疎水性付与の成否は電気泳動観察から定性的に確認した.さらに,水相中に分散せず,また互いに凝集しない適度な疎水性を決定するため,疎水基の本数を変えたDNAナノユニットを用いて油中水滴(ミネラルオイル中の微小水滴)を調製し,共焦点レーザー顕微鏡観察から界面集積部分と水相内分散部分それぞれの蛍光強度を定量評価することで,最適なコレステロール導入本数を決定した.以上より,気水界面における二次元DNAネットワーク集積体作製のための構成単位であるDNAナノユニットの開発に成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,両親媒性を付与した環状DNAナノユニットの開発を主な研究予定としていた.当初は,脂質膜を足場として両親媒性DNAナノユニットを界面に集積させ,疎水基の本数の最適化を行う予定であったが,脂質膜を用いることなく,より簡便かつ定量的な評価方法によって疎水基導入本数を決定することができた.また,次の研究段階である両親媒性DNAナノユニットの気水界面集積の予備実験も実施できている.したがって,計画はおおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに,研究目的である二次元DNAネットワーク集積体の構成単位である両親媒性DNAナノユニットの開発に成功している.したがって今後は,当初の予定である気水界面における二次元集積およびその力学的変形,さらにDNAナノユニット内部への酵素の導入による微小反応場構築とその反応効率の力学的調整へと展開していく予定である.
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Research Products
(9 results)