2017 Fiscal Year Research-status Report
フローサイトメトリーデータの測定条件に対して頑健な計算論的分析法の開発
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17K12779
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
大佐賀 智 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (60790772)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | サイトメトリー / 機械学習 / クラスタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はサイトメトリーデータの測定条件に対して頑健な計算論的分析法の開発のため、次の2つの課題に取り組んだ. 1.検体ごとの測定条件の相違によるデータの変動を考慮した推定法の構築 サイトメトリーのデータは医学的に知りたい情報である検体間の差異だけでなく,測定条件の相違によっても大きく変動する可能性がある.計算論的分析法の臨床データへの応用ではこの点が大きな課題となっていたが,従来の対策は測定条件の標準化が主であり,計算論的手法によるアプローチに関しては十分な検討がなされてこなかった.そこで従来法の一つであり,ノンパラメトリックベイズ法を用いたクラスタリングにより検体中の細胞集団の数を自動的に決める特長を持ったASPIREの統計モデルに測定条件の影響をアフィン変換の形で陽に組み込んだモデルを提案するとともに,そのモデルパラメータの推定法の定式化を行った. 2.提案手法の測定条件に対する頑健性の検証 提案手法の頑健性を検証するために,同じデータに異なるアフィン変換を人工的に加えて作成したデータセットと同じ検体を異なる条件で測定して得られたデータセットについてそれぞれ分析を行い,データ間で本来同一なはずの細胞集団が従来法では異なるクラスタとして分類されるのに対し,提案手法では正しく同一のクラスタに分類されることを確認した.また,前者のデータセットでは人工的に変換を加える際に用いた真のアフィンパラメータが既知であるが,それが正しく推定されていることも確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の予定は,検体ごとの測定条件の相違によるデータの変動を考慮した推定法の構築,リファレンスデータにおける提案手法と既存手法の比較,および提案手法の測定条件に対する頑健性の検証を行うことであった.このうち,提案手法の推定法の構築と頑健性の検証については順調に研究を進行させられているが,提案手法の計算量は当初の想定を超えるものであったため,リファレンスデータに対する適用はデータセット全体のごく一部(数検体分)のデータに留まっている.ただ,推定法の効率化は次年度の課題として当初から挙げており,現在計算コストの削減に尽力しているところであることから,現状は予定よりやや遅れているものの,期間中の課題の遂行は十分に可能と考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は大規模なデータセットへの提案手法の適用に向け,計算量の削減を進めるとともに,GPUによる並列計算も利用することで,市販レベルの計算機で実時間の処理が可能なアルゴリズムを構築する.また,提案手法による細胞集団の分類結果を用い,被験者である患者の病型や予後,薬剤への治療反応性などといった外部変数の予測を試みる.また,提案手法は測定条件を一定にすることが困難な実臨床や多施設共同研究でこそ優位性を発揮できると考えられるため,それらへの応用も模索していきたい.
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Causes of Carryover |
本年度は,書籍代等の物品費を予算として計上していたが,別の研究費での購入が可能だったため,また次年度に国際学会への出張や英文誌への投稿を予定しており予算超過が危惧されたため,物品費は使用せず旅費のみの支出となった. 次年度は,上記の支出に加え,必要に応じて並列計算に関する書籍の購入などにも助成金を使用する予定である.
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Research Products
(1 results)