2017 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子制御領域に着目したゲノム進化過程解明のための新しいオーソログ解析手法の開発
Project/Area Number |
17K12782
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Research Institution | 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(機構本部施設等) |
Principal Investigator |
千葉 啓和 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(機構本部施設等), データサイエンス共同利用基盤施設, 特任助教 (60625648)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 比較ゲノム解析 / オーソログ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年得られた多様な生物のゲノム配列を精密に比較解析することによって、ゲノム進化の過程に新たな知見をもたらそうというものである。申請者らはこれまで、遺伝子コード領域を対象として、精度の高い比較解析法を開発してきた。しかし、遺伝子の調節によっても生物の多様性が生じうることから、比較解析の対象に遺伝子制御領域を含めることが極めて重要である。そこで本研究では、遺伝子制御領域に着目した新しいオーソログ解析手法を開発する。本研究によって、どのような生物系統の、どのような遺伝子で、制御領域に変化が起きたのかを明らかにし、生物の進化過程に関する理解に新しい展開をもたらしたい。この研究は4年計画であり、1年目は、解析の基盤となるデータ整備に取り組む。転写開始点が決められた基準ゲノムをもとにして、近縁種間で比較を行い、オーソログ遺伝子を検出する。また、遺伝子コード領域のアラインメントに基づいて、遺伝子制御領域のアラインメントを行う。2年目は、既知の転写因子結合部位の情報を用いて、制御領域のアラインメントを精密化する。さらに、配列の保存度、配列の組み合わせを計算する。3年目以降は、どのような生物系統の、どのような遺伝子で、制御領域に変化が起きたのかを明らかにし、成果を論文にまとめる。今年度は、解析の基盤となるデータ整備に取り組んだ。これに加え、次年度以降のデータ解析の準備として、最新のアルゴリズムに関する情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は解析の基盤となるデータ整備に取り組んだ。また、来年度以降のデータ解析の準備として、最新のアルゴリズムに関する情報収集を行った。これによって、次年度以降の解析の基盤が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は制御領域のアラインメントの精緻化手法の開発に取り組む。当初の予定では、申請者らの開発した計算手法を用いて領域特異的なスコアを計算し、最適化を行うことを考えていた。これに加えて、最新のアルゴリズムを用いた計算手法の応用についても検討する。
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Causes of Carryover |
当該年度の途中で、予定より多くの旅費が必要な見込みが生じたため、20万円を前倒しして請求した。しかしながら実際には、当初の予定額をそれほど多くは上回らず、前倒ししたうちの一部を次年度分に戻すという結果になった。これによって次年度使用額が生じている。すなわち使用計画の変更はあったものの、結局は当初の予定に近くなり、翌年度の使用計画にも特に変更はない。
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