2017 Fiscal Year Research-status Report
人の見解と行動に変化をもたらす情報の検索に関する研究
Project/Area Number |
17K12787
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
梅本 和俊 国立研究開発法人情報通信研究機構, 統合ビッグデータ研究センター, 研究員 (90783217)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 情報検索 / ウェブマイニング / 態度変容 / 行動選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,物事に対する人の見解や実世界での人の行動に影響を与える情報の検索を実現することである.その達成に向けて,平成29年度は,「人の見解や行動を変化させる情報のマイニングとランキングのための技術開発」という課題に取り組んだ.具体的には,主要な実世界行動の1つである「購買行動」を対象として,ソーシャルメディア上から人々の購買行動に影響を与えた投稿を発見する手法を開発した.提案手法はまず,ソーシャルメディアとECサイトとの連携機能に着目することで,購買行動を示唆するソーシャルメディア上の投稿を特定する.次に,購買者のユーザタイムラインを購買日から遡って解析し,投稿内容の関連度・投稿時刻の近接度・ユーザ間の親密度などの多様な手がかりを用いることで,商品の購入に影響を与えた他者の投稿を検出する.さらに,本手法によって得られた投稿集合を,適合性・影響力・網羅性の観点からランキングする手法を開発した.以上の手法を組み合わせることで,購買要求を持つ検索ユーザに対して,購買行動を促進させる情報を提供することが可能となる.Twitterのアーカイブデータを用いた評価実験により,提案手法が影響力のある多様な投稿集合を検索可能であることを確認した.本課題の研究成果を査読付き国内論文誌にて発表した.また,別の成果として,「モバイル環境下における閲覧行動を変革する新たな情報管理方式」を査読付き国際論文誌にて発表した.なお,研究実施にあたっては,成果発表時の際に適切に匿名加工したデータを用いるなど,個人情報やプライバシーの取扱いに配慮した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究計画として予定していた「人の見解や行動を変化させる情報のマイニングとランキング」に関して,研究実績の概要で述べたように,手法を開発し,その成果を査読付き論文誌にて発表できたため,本研究は概ね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ概ね順調に進展しているため,当初の計画通り,「検索クエリの背後に潜む見解や行動の発見」,「見解や行動を意図した方向に変化させる情報提示方式の確立」,「検索ユーザの見解や行動の変化過程の解明」という課題に取り組む予定である.また,平成29年度に開発した「人の見解や行動を変化させる情報のマイニングとランキング」に関する手法を,購買以外のドメインに適用することも検討している.
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Causes of Carryover |
平成29年度は,現有資産であるTwitterアーカイブを利用したが,今後はその他のコーパスやテストコレクションも利用したいと考えており,その格納のためのストレージ装置を購入することを検討している.また,同年度の成果は査読付き論文誌にて発表したため,海外出張にともなう旅費の支出はなかったが,次年度以降は,当初の計画通り,関連分野のトップカンファレンスにも投稿する予定である.
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