2018 Fiscal Year Research-status Report
人の見解と行動に変化をもたらす情報の検索に関する研究
Project/Area Number |
17K12787
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
梅本 和俊 国立研究開発法人情報通信研究機構, 統合ビッグデータ研究センターソーシャルビッグデータ研究連携センター, 研究員 (90783217)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 情報検索 / ウェブマイニング / 態度変容 / 行動選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,「物事に対する人の見解や実世界での人の行動に影響を与える情報の検索」を実現することである.
その実現に向けて平成30年度は,「観測された見解や行動を引き起こす要因の特定」および「ユーザの見解や行動の変化過程の解明」という2つの課題に取り組んだ.具体的には,ユーザのアイテム選択に関する行動に影響を与える要因としてユーザの技能とアイテムの難易度に着目し,アイテム選択を繰り返す過程で成長するユーザの技能,およびそれにともない選択されるアイテムの難易度の変化を捉えることが可能な手法を開発した.提案手法は,ユーザの技能を時間に関して単調非減少な潜在変数として表現する進行モデルを所与のドメインにおける行動ログに対して学習することで,各ユーザの各時点における技能のレベルを推定する.次に,「選択されるアイテムはユーザの技能のレベルに応じて変化する」という仮定に基づき,進行モデルの学習結果を利用して各アイテムの難易度を統計的に推定する.レビューサイトや添削サイト等のソーシャルメディアから取得した実データ4種類に対して提案手法を適用することで,ユーザ行動の傾向が時間の経過に従い変化していく様子を学習結果を用いて説明可能であることを確認した.さらに,ユーザ技能とアイテム難易度の正解値を含む人工的なデータセットを作成し,提案手法によりこれらの推定が十分に正確であることを示した.
また,前年度に取り組んだ「モバイル環境下における閲覧行動を変革する新たな情報管理方式」に関する研究について,国際会議や国際ワークショップにおいて発表を行った.同じく,前年度に論文誌に発表した「人の見解や行動を変化させる情報のマイニングとランキング」に関する研究について,「2017年度日本データベース学会論文賞」を平成30年6月に受賞した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度は,前年度に行った研究を国際会議等で発表したことに加えて,当初の計画で予定していた2つの課題を解決する手法についても開発を行い,その有用性を明らかにできた.その成果をまとめた論文を情報検索分野のトップ国際会議に投稿したが,残念ながら採択には至らなかった.そのため,当該課題の成果のアピールという点に関しては,当初の計画に比べて,やや遅れが生じている.
ただし,投稿時点では不足していた点に関する追加実験は既に完了しており,現在は当該分野の別のトップ国際会議への投稿準備を進めている.手法自体の有用性については既に実験を通じて明らかにしていることからも,この遅れが本研究全体の進行に与える影響は大きくないと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況に関する項目でも述べた通り,まずは平成30年度に取り組んだ研究に関する論文をトップの国際会議や論文誌に通すことで,その成果を国内外にアピールする.
これと並行して,残りの課題である「見解や行動を意図した方向に変化させる情報提示方式の確立」にも着手することで,当初の計画に沿って研究を遂行し,「物事に対する人の見解や実世界での人の行動に影響を与える情報の検索」という目的を実現する.
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Causes of Carryover |
現在までの進捗状況の項目でも述べた通り,平成30年度に得られた成果をまとめて国際会議に投稿した論文は採択に至らなかった.そのため,その分に予定していた旅費は未使用となった.また,当初は文書コーパスやストレージ装置の購入を検討していたが,平成30年度の研究では公開されているデータセット等を利用し,データの保存も現有設備で間に合ったため,それらの購入を見送った.
これらの未使用分については,平成30年度の研究成果に関する発表,および最新の研究状況に応じて追加で必要となる物品等の購入に充てる予定である.翌年度分として請求していた助成金については,当初の計画通り,翌年度に遂行することとなっている課題の解決および成果の発表に使用する予定である.
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Research Products
(2 results)