2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K12797
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
谷岡 健資 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (40782818)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 次元縮約クラスタリング法 / 多相多元データ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
3相3元データは対象の集合,変量の集合,条件の集合の3つ組の関係を表現したデータとなる.例えば,脳科学等の分野では,被験者を対象とし,脳領域を変量,時系列や実験の条件等を状況として3相3元データが観測される.このような3相3元データが与えられた際に解析上重要なことは変量や条件固有の要因を把握することにある. 本研究では,3相3元データに対する既存の次元縮約クラスタリング法であるTucker3クラスタリング法等により,各クラスターの特徴を容易に解釈することは可能であるが,これらの手法は3相3元データに非常に強い仮定を置いていることから,誤った解釈を誘発してしまう可能性がある.そこで,当該仮定を緩めた次元縮約クラスタリング法を開発することが目的となる. 本年度は当初の予定を変更し,平成30年度に開発予定であった因子分析に基づく次元縮約クラスタリング法の開発に着手した.具体的には3段階のアプローチによって手法を検討・開発した.いずれのアプローチも脳科学データを想定しており,3相3元データおよび対象のクラス情報が与えられた際に当該データに対してクラスタリング法と次元縮約法の同時分析法を適用する方法となる.1つめは,各条件に対応する多変量データの内積に対して,共通の分類構造と条件ごとに異なる低次元空間をそれぞれ同時に推定する方法を開発した.2つめは,1つめの方法を改良し,条件ごとの差を低次元空間上で容易に解釈することが可能な次元縮約クラスタリング法の開発を行った.3つめは,2つめの方法を精度の向上を目指し,条件間のデータの差ではなく,条件間のデータの差の内積に対してモデル化を行った.これらの方法はいずれも,既存の解析法を組み合わせるアプローチよりも分類結果において良いということを数値例によって検証して確認している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は主成分型の次元縮約クラスタリング法を提案する予定であったが,本年度は当初次年度に達成しようと計画していた次元縮約クラスタリング法の開発を進めた.新たに開発した解析方法の性能評価について,様々な要因のもとでの数値シミュレーションにより,検証を行った.また,実際のfMRIデータに対しても開発した解析手法を適用し,評価を行った.当該研究の達成度は次年度達成する目的と今年度達成する目的の時期が入れ替わったのみであることから,当該区分を選択した.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度進めた研究課題についてまとめるため,開発手法の性能評価の残りを進める.具体的には,数値シミュレーションでは低次元数を小さく設定することでクラスタリング結果が良好であることを確認したが,実際のデータでも同様の傾向であるか等について検証する必要がある.また,解の不定性があることから当該問題についても回転等を用いて評価を実施する. 次に当初,最初の年度で開発予定であった3相3元データに対する主成分型の次元縮約クラスタリング法の開発を進め,効率的なアルゴリズムの開発も同時に行う.また,本年度開発した解析手法との比較を数値シミュレーションや実データを用いて検討を行う.
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Causes of Carryover |
統計科学関連図書を購入する予定であったが,本学業務のため当該図書を購入することが間に合わなかった.よって当該助成金が次年度へ持ち越しとなった.使用用途は変わらない為,翌年度分として請求した助成金は統計科学関連図書を購入するために使用する予定である.
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