2019 Fiscal Year Research-status Report
学習者の体験をフィードバックとして顕在化させるプログラミング学習支援環境の開発
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17K12804
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷口 雄太 九州大学, システム情報科学研究院 情報知能工学部門, 助教 (20747125)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 学習過程 / エラー解決 / 系列モデリング / 学習支援システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、プログラミング学習においてはソースコードのコンパイルエラーが学習者のつまずきとなり得るのにも関わらず、それが教師視点で顕在化しにくいという問題を解決することである。本研究は学習者が解決しようとしているエラーの本質を捉え、またそれを解決しようとする学習過程を精細に把握することにより、従来見落とされがちであったつまずきを早期発見し、学習者と教師の双方へフィードバックすることによりプログラミング演習授業の改善を目指している。 前年度は、演習においてエラー解決のために学習者が行う一連の演習学習行動シーケンスについての定性的な分析を行った。本年度はより踏み込んだ演習活動系列のモデリングに取り組んだ。学習者や課題に応じて将来の活動系列を生成することができれば、教師はもちろん学習者自身にも有益な情報を提供することが可能となる。コードのコンパイル、電子教科書の閲覧という2つの演習学習行動の時間的系列を対象に、ニューラルネットワークを用いて系列生成モデルの構築を試みたが、高い予測精度を達成することはできなかった。同時に、より詳細な学習活動の記録と、学習者と教師へのフィードバックを行うために、新たにプログラミング学習支援システムの開発を進め、実際の授業への導入も行った。これにより、自宅における学習活動の記録や、従来の演習環境では収集することが困難であった学習時の細かな行動の記録が可能になった。前述の予測モデルの開発が難航したため、実授業におけるフィードバックを実現することはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
これまでの分析により、学生が遭遇するエラーのほとんどは、トピックや学生に特有なものであることが分かった。この観察を基に、授業後の学生からのフィードバックを用いる当初の研究計画から、演習中の学習活動データをリアルタイムに用いたつまずき発見へと切り替えて研究を進めてきた。本年度は、前年度のつまずき早期検出の予備実験を発展させ、より詳細なモデリングを行った。しかし、フィードバックに用いるシステムの開発と授業への導入が遅れ、実用に足るモデルの構築も難航したため、実授業における検証ができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
よりシンプルな予測モデルの検討、新しいプログラミング学習支援システムによる学習活動の詳細化により、早期のつまずき顕在化手法の確立を行う。また前後期の実授業での実験により、提案手法の評価を行う予定である。実験では複数の教員の協力を得ることで、実際の授業における介入効果と学習者の行動変容について、比較に基づいて分析と評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
年度末に参加予定であった国際会議がコロナウィルスの影響により中止となり、未使用額が生じた。次年度にデータアノテーションによる人件費、論文発表に必要な旅費、データの保存に用いるハードディスクなどの物品購入に利用する予定である。
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